読める? 雲梯 徳次郎 埴生…増える「難読IC」 なぜ、IC/JCTに難読名称が付けられるのか?

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ところが、高速道路網が、鉄道の走っていないようなエリアにも進出するようになると、まさにIC名やSA名単独で“解読”しなければならない、難易度の高いケースが増えてきた。

例えば、大分県の中津日田道路にある「定留IC」「三光下秣IC」や、新潟県を走る新新バイパスの「大夫興野IC」は、どうであろうか。これは、私も初見では正確に読めなかった。

それぞれ「さだのみ」「さんこうしもまくさ」「だいぶこうや」と読む。

中津日田道路は、鶏唐揚げの聖地で、福沢諭吉の故郷としても知られる中津市の海岸近くを起点に、東九州道をクロスして内陸部を日田市へと向かう地域高規格道路だ。そのクロス地点近くのICが「三光下秣」、海岸近くの終点にあるのが「定留」である。「留」を「のみ」と読ませるのはかなり珍しいだろう。

大田県日田市は天ヶ瀬温泉や古い町並みの残る豆田町などで知られる(写真:kazukiatuko / PIXTA)

三光下秣の「三光」は、2005年に中津市に合併した下毛郡三光村の旧自治体名からきている。「秣」は、馬や牛の飼料となる草を指す「まぐさ」という字なので、それを知っていれば読めないわけではないが、「三光下秣」と続くと、どこで意味が切れるのかがあいまいになり、想像力を阻害されるような心持ちになる。

ちなみに、東九州道中津ICの1つ北九州寄りのIC名は「上毛PA」に併設されている「上毛スマートIC」。群馬県民なら「じょうもう」と読むであろうが、こちらは「こうげ」である。所在地の福岡県築上郡上毛(こうげ)町から採られている。

東九州道「上毛IC」(筆者撮影)

「大夫興野」は、新潟県内の自動車専用道である新新バイパス(新潟市と新発田市を結ぶ)のIC名だが、「だいぶこうや」と読む。新潟県聖籠町の大字名だが、インパクトのある地名で一度聞いたら忘れられない。

JRにも難読駅名は多い

新潟県では、新潟市からさらに日本海岸近くを北上する日本海東北道に、「村上山辺里IC」がある。この読み方は「むらかみさべり」だ。字面は美しいが、「さべり」もなかなか一発では読めない読み方である。

JRには、旧国鉄時代から難読で知られた駅名がいくつもあった。例えば、奥羽本線の「及位」(山形県真室川町)。指宿枕崎線の「頴娃」(鹿児島県南九州市)。あるいは、篠ノ井線の旧「麻績(現・聖高原)」(長野県麻績村)や函館本線の「国縫」(北海道長万部町)などである。

これらはのちに東北中央道、指宿スカイライン、長野道、道央道にあるICにも同様の名前がつけられた。それぞれ、「のぞき」「えい」「おみ」「くんぬい」である。ほかにも枚挙にいとまがないので、クイズ風にいくつか列挙しておく(正解は最後に)。

<難読ICクイズ>
(1)大洲冨士/松山道・大洲道路
(2)巨椋/京滋バイパス
(3)草津田上/新名神
(4)金御岳/都城志布志道路
(5)松橋/九州道
(6)雲梯/南阪和道路
(7)埴生/山陽道

(6)(7)は当記事のタイトルにも入れたものだ。「徳次郎」について次に解説する。

次ページ「米原」は複雑な経緯のある難読名だった
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