読める? 雲梯 徳次郎 埴生…増える「難読IC」 なぜ、IC/JCTに難読名称が付けられるのか?

✎ 1〜 ✎ 43 ✎ 44 ✎ 45 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

米原IC/JCT」も、難読名の1つだろう。新幹線の停車駅もある滋賀県東部の交通の要衝である地名だ。多くの人が知っている名前だが、その読み方は「まいばら」ではない。実は「まいはら」と読むのだ。これには、少々複雑な経緯がある。

米原には、もともと「まいばら」と「まいはら」の2つの読み方が混在していたが、1889年の東海道線の開通時に設けられた駅は「まいばら」と読むこととされた。そして、新幹線が開通してもこの読みは踏襲され、今に至っている。

米原JCTの読み方は「まいはら」(筆者撮影)

一方、自治体名は、明治以降に「村」から「町」となっても、一貫して濁らず「まいはら」であった。1980年、米原町に設置された米原ICと米原JCTは、駅名と同じ「まいばら」として供用が開始されたが、2001年、自治体の読みに合わせる形で「まいはら」に改名。これでIC・JCT名と自治体名の読みが一致した。

ところが、平成の大合併で、米原町が周辺の2町と合併することになり、新たな市の名前を決める際に、駅名として広く全国に定着していた「まいばら」に変更。再び自治体名とIC・JCT名が異なってしまった。

その結果、令和の時代に入っても、米原(まいばら)市には、米原(まいばら)駅と米原(まいはら)ICが混在しているのである。

「徳次郎」の読み方は「とくじら」

東京方面から日光へ車で向かうと、宇都宮で東北道と別れ、日光宇都宮道路に入る。しばらく行くと通過するのが「徳次郎IC」である。読み方は「とくじろう」ではなく「とくじら」。

新緑の日光宇都宮道路(写真:yukky / PIXTA)

所在地は、宇都宮市徳次郎町。ICが設置されたのは1976年で、徳次郎は地元で長く親しまれていた「とくじら」を採用し、「とくじらIC」となった。ところが、町名は正確な経緯は不明ながら漢字の一般の読みを採用し「とくじろう」とされた。つまり、「とくじろう町」にある「とくじらIC」だったわけである。

2008年、道路を管理する栃木県道路公社は、地元の町名に合わせて「とくじろうIC」と読み方を改称。外部の人にとっては、そのまま素直に読めばよくなったわけである。しかし、話はこれで終わらなかった。

「とくじら」の読み方に慣れ親しんできた地元の自治会が2020年、町名の読みの変更を市に要望。議会で変更の議案が可決され、昨年3月1日に町名の読みが正式に「とくじら」となり、同日、IC名も「とくじらIC」に戻された。「とくじら」と「とくじろう」の由来についてはここでは割愛するが、日本の地名の読みの難しさが凝縮された事例であった。

もう1つ、利用者を悩ませる読みの例を挙げよう。圏央道の「山武成東IC」だ。「さんぶなるとう」と読む。所在地は千葉県山武市。こちらの読み方は「さんむ市」である。

次ページ山武はさんむ? さんぶ?
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事