災害時「交通手段の断絶」に高速バスが強い理由 福島県沖地震で「新幹線の不通」を補えた背景

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能代・大館~東京(池袋)を走る秋北バス(写真:tarousite / PIXTA)

東日本大震災から11年のさまざまな追悼行事や関連の報道が終わったばかりの3月16日の深夜に、宮城県や福島県の震度6強をはじめ、東日本の広い範囲に大きな揺れをもたらした福島県沖地震。寝入りばなに飛び起きたり、帰りの通勤電車が止まってタクシー乗り場に並んだりした人も多かったことだろう。

私もちょうど寝床に入ったばかりで、異常に長い揺れに東日本大震災を思い起こすとともに、震源と震度の速報を見て、高速道路や新幹線、空港などに大きな被害が出るかもしれないと直感。翌朝のニュースで、17両編成の車両のうち16両が脱線した東北新幹線や、大きな亀裂が入った東北道や常磐道の惨状を知り、胸が痛んだ。

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そんな中でも、高速道路の復旧は早かった。亀裂が入った区間である東北道の国見IC(インターチェンジ)~白石IC間は、翌17日の15時半に通行止めが解除され、東北道は全線復旧したのだ。

また、同様に被害が大きかった常磐道の南相馬IC~新地IC間も、18日の12時に通行止めが解除。大地震からわずか1日半で輸送の大動脈が確保されたことは、過去の教訓を最大限に生かした成果ともいえ、ネット上でも高速道路会社の対応に称賛の声が相次いだ。

しかし、脱線だけでなく、架線を支える支柱や高架の橋脚にも損傷が及んだ東北新幹線の復旧はまだ先が見えず、この原稿を書いている21日の時点でも、ようやく脱線した車両を線路上に戻す作業が始まったばかりで、全面復旧は4月以降といわれている。

高速道路のほうは盛り土区間が多く、道路の土台部分まで大きな被害が及んでいなかったため、路面の修復だけで復旧できたという点も大きいし、何より発災直後から夜通し点検をして翌早朝には亀裂の修復を始めたという迅速な対応が、予想以上に速い復旧に結び付いたといえよう。

素早く復旧できる高速道路の役割

実は、2011年の東日本大震災の際にも、東北新幹線は完全復旧までに49日を要した一方で、東北道は翌日には仮復旧を終え、支援物資や応援の人員を輸送する許可車両の通行が可能になっていた。 

地震ではないが、今冬の札幌圏の大雪の際もJRの在来線では2度の大規模運休が発生。特に2月6日の大雪では通常ダイヤに戻るまでに8日を要したが、道央道や札樽道(さっそんどう)といった道路のほうは、部分的な通行止めこそあったものの、暴風雪のあとすぐに除雪を完了し、通行を再開していた。

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