「トヨタのお家芸」見えた2021年SUV戦略の凄み 計画的「フルラインナップ」で全ニーズを網羅
トヨタのお家芸は、「フルラインナップ」だ。世界ナンバー1の販売台数を、フォルクスワーゲン・グループと張り合う超巨大自動車メーカーならではのパワーで「小から大」「右から左」まで、まるで絨毯爆撃をするように、市場のすべてのニーズに応える多彩なクルマをフルフルで用意するのだ。
ライバルとなるフォルクスワーゲンは、傘下にアウディやセアト、シュコダ、ポルシェといった数多くのブランドを擁しており、それらの合計でトヨタと戦う。しかし、トヨタは、トヨタとレクサス、それにダイハツといった、ごくわずかなブランド数で対等に戦っている。
特にトヨタブランドの車種数はケタ違いに多い。トヨタの日本のホームページを見れば、現時点(2022年1月18日)で52車種ものラインナップが掲載されているのだ。
昭和からのお家芸:フルラインナップ
こうしたフルラインナップ戦略は、今に始まったことではない。昭和から平成にかけては、4つのチャネル(販売網)を用意して、それぞれに異なる車種を供給していた。
有名なのは「マークⅡ」「チェイサー」「クレスタ」の3兄弟だろう。ベースメカニズムは同じながら、外観をそれぞれ変えることで異なるユーザー層をターゲットとして、3つのモデルに作り分けていた。
さらに、技術開発の点でもトヨタの方針は、フルラインナップだ。エンジンもやれば、HEV(ハイブリッド)もPHEV(プラグインハイブリッド)もBEV(電気自動車)もFCV(燃料電池車)もやる。
未来にお客様がどのような望みを抱こうとも、そのすべてに対応できるように準備するというのがトヨタ流だ。だからこそ、昨年暮れに行った「バッテリーEV戦略の説明会」でも、軽自動車からセダン、SUV、スポーツカー、商用車まで、フルラインナップで16台ものBEVプロトタイプを並べたのだ。
そういうトヨタのフルラインナップ戦略は、昨今のSUVトレンドの対応にも同じ対応が見て取れる。
現在、国内で販売される、トヨタのSUVは下から上に「ライズ」「ヤリスクロス」「カローラクロス」「C-HR」「RAV4」「RAV4PHV」「ハリアー」「ハイラックス」「ランドクルーザープラド」「ランドクルーザー」と10車種を数える。
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