「トヨタのお家芸」見えた2021年SUV戦略の凄み 計画的「フルラインナップ」で全ニーズを網羅

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ライバルのホンダは「ヴェゼル」「CR-V」の2車種のみ、日産は「エクストレイル」「キックス」「アリア」の3車種、マツダがやや多くて「CX-3」「CX-30」「CX-5」「CX-8」「MX-30」「MX-30 EV」の6車種、スバルは「XV」「フォレスター」の2車種。

三菱自動車は「RVR」「エクリプスクロス」「エクリプスクロスPHEV」「アウトランダーPHV」の4車種、スズキが「ジムニーシエラ」、ダイハツが「ロッキー」のみ。こうして名前を上げれば、トヨタの10車種は、国内自動車メーカーとして断トツの数字だ。

しかも、トヨタの10車種のSUVは、シティ派とアウトドア派の両方がバランスよく並んでいる。表にすると以下のようだ。

あえて足りないところを言えば、大型でシティ派が存在しないこと。ただし、ここにレクサスを使えば、新型の「LX」が当てはまる。もしも、どうしてもトヨタブランドで必要とあれば、北米で販売されている「ハイランダー」などを持ってくれば事足りる。そうした余力があるのも、トヨタらしさと言えるだろう。

つまり、SUVに関しても、小から大までシティ派とアウトドア派というジャンルをすべて埋めるだけの、フルラインナップで揃えているのがトヨタなのだ。

では、そんなトヨタのSUVの売れ行きは、どうなっているのだろうか。

新顔「ヤリスクロス」は売れたのか?

2021年1~12月の販売ランキング(自販連調べ)を見ると、1位は「ヤリス(ヤリスクロスを含む)」(21万2927台)、3位「カローラ(カローラクロスを含む)」(11万0865台)、6位「ライズ」(8万1880台)、7位「ハリアー」(7万4575台)と10位までに、SUVとSUVを含む4モデルがランクインしている。

ちなみにヤリスとカローラは、それぞれ「ヤリスクロス」と「カローラクロス」というSUVを数に含んでいる。その内訳をトヨタに尋ねてみれば、2021年に販売されたヤリスクロスは約10万4000台、カローラクロスは約1万7780台だという。

1年を通じて販売されたヤリスクロスが大きな数字を残したのに対して、9月中旬に発売開始となったカローラクロスが販売されたのは3か月半。月平均で見れば5000台で、年間換算では6万台規模だ。

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