【産業天気図・業種別業績予想集計】「会社四季報」2010年4集秋号

『会社四季報』2010年4集・秋号(10年9月発売)の最新データを基にした独自集計によれば、今11年3月期の予想営業利益(金融除く「全産業」ベース)は、前期比44.4%増となる見通し。前10年3月期の実績である4.7%増と比べ大幅な改善だ。08年の金融危機による企業業績への打撃は、各国政府が打ち出した自動車や家電などの消費奨励政策や、企業各社の構造改革で一巡した。

業種別にみると、銀行・保険を除く31業種中、前期比で営業増益・黒字化となるのは25業種。伸び率が大きいのは鉄鋼(452%増)、電気機器(127.5%増)、機械(116.9%増)、繊維製品(101.4%増)、ガラス・土石製品(100.2%増)など。黒字化するのは海運、空運、その他金融の3業種だ。また、6月の四季報前号予想から予想営業利益の合計額が上方修正された産業は29業種に上る。
 
 逆に前期比で営業減益となるのは、証券(36.1%減)、その他製品(13.2%減)、医薬品(10.9%減)、電気・ガス(4.4%減)、鉱業(0.8%減)、パルプ・紙(0.2%減)の6業種。前期の11業種から大幅に減少している。

今期については、日本の産業界の景況感は確実に改善が見込まれる。だが、この回復スピードは来12年3月期には大幅に減速する見通しだ。国内外の政策特需の剥落や、対ドル・ユーロでの厳しい円高進行が要因。各種経済指標で米国消費経済の回復が力弱いのも懸念材料だ。

来12年3月期の予想営業利益(金融除く「全産業」ベース)は、今期比11.7%増と、今期予想に比べて32ポイントも下落する見通しだ。大半の業種で増益幅が急速に縮まると予想されている。増益率の縮小が顕著なのは、鉄鋼(431ポイント減)、電気機器(112ポイント減)、ガラス・土石(91ポイント減)、石油・石炭(88.5ポイント減)など。証券、医薬、電気・ガスといった増益に転じる業界が、どれだけ強い回復を示せるかが来期の注目点となりそうだ。

日本産業界にとっては、尖閣諸島問題に端を発する日中経済交流の冷え込みという特有の懸念材料も浮上してきた。リーマン・ショック後の緩やかな景気回復が腰折れしないか、動向は予断を許さない。

■次ページに業種別営業利益・純利益予想の集計表を掲載

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