ゲーム「ぷよぷよ」も対応、「色弱」の人が抱える困難 劣等感が生まれがちな学校にも配慮が必要だ

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最近では、教科書も「CUDに配慮しています」と表記されたものも多い。しかし、岡部教授によると、こうした表記には明確な基準がなく、なかには本当に専門家や当事者によってチェックされているのか、疑わしいものもあるという。

具体的にどう配慮すればいいか迷ったら、スマホアプリを活用するというやり方もある。「色のシミュレータ」という無料アプリでは、画像を色弱者の見えている色に変換することができる。例えば、体育の先生が、チーム分けの際に使うビブスの色で迷った際、このアプリを活用すれば、どの色の組み合わせが色弱でも見分けがつきやすいのかをチェックできる。こうすれば、色弱の児童や生徒が、敵味方がわからず困惑する事態を防げる。

このアプリは無料で利用できるので、企業で商品デザインを担当する人が活用すれば、最低限、コストをかけずに多様な色覚への配慮が可能になる。

また、色弱の子を持つ親の中には、「自分の遺伝子が原因で、子を色弱にしてしまった」と悩む人も。これに対して、岡部教授は、

「色弱に限らず、性格や体格など、さまざまなことが親から子へ遺伝しています。色弱はそのうちの1つにすぎません。問題なのは、親の描く『色覚異常』のイメージに、子をカテゴライズしてしまうこと。怖がらずに色弱のことを知って、具体的にどう対応すればいいのかを子どもと一緒に考えてほしい」

とアドバイスする。

対応に悩んだら……

対応に悩んだら、CUDOにも相談窓口があるので、利用してみるのも手だ。CUDOには、色弱当事者などでつくる「CUD友の会」があり、ここでは「肉が焼けているかどうかの見分けがつきにくい色弱の人が焼き肉を楽しむには」「紅葉を楽しむには」といった、生活が楽しくなるような知恵も共有されている。思い悩まず、気軽にのぞいてみたい。

また、色弱の人のなかには、幼い頃、絵を描く際に友人から「それはこんな色じゃない」「色が変だ」と馬鹿にされたことで、絵を描くことが嫌いになってしまう人もいる。

そんななか、色弱の人自ら、純粋に絵を描く喜びを取り戻そうという試みも始まっている。2020年からCUDOでは、色弱の人による色弱の人のための絵画展をウェブ上で実施。先に登場した伊賀さんは語る。

(写真:2021年度【ひとつの色世界_2021】の作品から。他の作品はこちらURLから見ることができる)

「これまで色弱の人は、“葉っぱの色は緑だから、『緑色』と書いてある絵の具で塗ろう”と、自分の見え方とは違う色を、一般の見え方をする人に“忖度”しながら絵を描いてきました。特にかつて配慮なき学校色覚検査で心的外傷を受けた60代以上の色弱の人は『絵だけは勘弁して』と苦手意識を持つ人も多い。この絵画展では、見えたままの色で描いていい。描いた絵は、色弱の人だけで評価します。忖度せず、好きなように絵を描いていいという、色弱の人の心を解放しようという試みです」

まだまだ正しく認知されていない色弱。商品やチラシなど、何かを発信したり、デザインをしたりする際に、ほんの少し工夫することで、多くの人が使いやすくなる。この色使いで、困る人はいないのか。まずはまわりの色に目を向けてみるところから始めてみたい。

(構成:市岡ひかり)

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