ゲーム「ぷよぷよ」も対応、「色弱」の人が抱える困難 劣等感が生まれがちな学校にも配慮が必要だ
一方、見え方の違いによって、差別や劣等感が生まれがちなのが学校現場だ。
2002年度までは、小学校4年生の健康診断で色覚検査が実施され、色弱かどうかを本人に知らせていた。2003年度以降は必須項目から削除されたが、2014年の学校保健安全法施行規則で、「児童生徒や保護者の事前の同意を得て個別に検査、指導を行うなど、必要に応じ、適切な対応ができる体制を整えること」と改正。色覚検査を復活させる動きが出ている。
これに対し、「検査は事後措置とセットであるべき」と警鐘を鳴らすのは、自身も色弱当事者である東京慈恵会医科大学解剖学講座の岡部正隆教授だ。
色弱は男女40人学級なら、クラスに必ず1人はいる。であれば、誰が色弱であるかを明らかにするよりも、誰が色弱だったとしても学校生活に困らないよう配慮が必要だ、と岡部教授は指摘する。
「検査で色弱だとわかっても、今は『あなたは色弱。これから大変だけど頑張って』で終わらせてしまっている。それでは意味がありません。遺伝的な特性で治療法がない以上、生活上困っていなければ、検査で強制的に本人や周囲に知らしめる必要はありません。必要であれば、適切なタイミングで検査して知ればいいだけのこと。
それより大事なのは、例えば、色弱の生徒にも見えやすいチョークを採用するといった配慮や、色弱だからといって不必要に将来の選択肢が狭められないような進路指導です」
現在、色弱の人は電車の運転士や旅客機のパイロットなど、一部の職種に就くことができない。ただ、今小学生なら、大人になる10年後や20年後などに、基準が変更されていることもありえる。「色弱だから〇〇にはなれないに違いない」などと思い込んで将来を悲観したり、劣等感を持ったりしないよう、正しい情報に子ども自身がアクセスできるための調べ方を教えるといった指導も必要だろう。
文房具でも配慮ができる
黒板に使うチョークも、CUDに配慮されたものが販売されている。また、採点用のサインペンも、濃い赤は黒っぽく見え、答案と重なって見えてしまう。しかし、朱色なら、色弱でも答案との違いがはっきりわかりやすい。
「学校で添削用のサインペンを購入する際に朱色に統一するなどすれば、仮に先生に知見がなかったとしても配慮ができる。校長先生など、決裁権者に認識が広がることが重要だと思います」(岡部教授)。
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