さらに問題は、フェミニズム自体は女性の正当な権利を求めるための活動なのに対して、WOMADなどの極端な方法などが10~20歳代の若い男性にとって「フェミニズム=男性嫌悪」という認識を与えてしまったということだ(韓国で「ショートカットの女性」が攻撃されるなぜ)。
韓国フェミニズムの危機は、国民と寄り添うべき大統領候補さえも、男女間の性的対立を深めさせる原因となっている。文在寅大統領は自らが当選した2017年の大統領選挙当時、「フェミニズム大統領となる」と訴えると、20~30歳代の男性は与党「共に民主党」に背を向けて、野党を支持し始めた。
その結果、2021年に最大野党である「国民の力」の党代表として、国会議員の経験もない30代の李俊錫氏が代表として当選。1カ月後に行なわれる大統領選挙を控え、各候補者は20~30歳代の男性票を得るための公約を乱発している。
「国民の党」の大統領候補者である尹錫悦氏は、「女性家族部」を廃止すると述べるやいなや、男性からの支持を得た。与党候補者の李在明候補がフェミニズムと女性の人権を扱うYouTubeチャンネルである「ドットペース」に出演しようとしたが、党はこれを止めさせようとした。男性票が減ることを恐れたためだ。
兵役をめぐる男女それぞれの主張
男性と女性の確執は兵役をめぐる論争にもつながっている。若い男性らは、男女平等と言いたいのであれば女性も兵役の義務を負うべきだと主張する。
韓国では、男性は必ず18カ月間の兵役を課せられる。20代の男性らは、若い盛りに軍への服務があるために女性と付き合えないという犠牲を払っているのだと主張するが、兵役経験は就職の際に経歴として認めてもらえるし、女性の新入社員よりも月給を多くもらえるということもある。
それでも若い男性の不満は小さくない。このため政界の一部ではこうした男性らの支持をあてこんで「女性も軍に服務すべきだ」と主張し、男女間の確執をさらにあおりがちだ。
対する女性側は、こうした一部政治家や若い男性らの主張に不満を爆発させる。女性には出産の苦痛があるうえ、毎月の生理を抱えそれが後を引くというのに、男性は18カ月の苦労だけですむではないか、という主張している。
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