それでも、やはり大きな差が出るのが発進である。ずっとe-POWER 4WDを試していて、ごく自然に発進できるのに慣れっこになった後、前輪駆動モデルに乗り換えて試したら、闇雲にアクセルを踏み込むだけでは前輪が空転してクルマが前に進まず、改めて4WDの効果を実感することになった。アクセルコントロールが容易なので、すぐにグリップを確保することはできるのだが、e-POWER 4WDは圧倒的にスムーズで、速くて、ラク。やはり雪道はe-POWER 4WDに限ると思った次第である。
それにしても、エントリーレベルのコンパクトカーでこれだけの走りを実現できてしまうとなると、今後登場するであろう上級車種では一体どれだけのことを具現化してくるのか興味が募る。日産に限らず、電動化時代には駆動力制御こそがクルマづくりの大きなカギになると、どのブランドも言っている。それはそうかもしれないが、ではそこでもたらされる感動は、今回試したe-POWER 4WDをどれだけ超えて来られるというのだろうか?
GT-R T-specは安心してアクセルを踏み込めた
正直、期待と同時に不安も芽生える中、最後に試すことができたのがGT-R T-specである。最高出力570PSの“純内燃機関”、V型6気筒3.8Lツインターボエンジンを搭載し、アテーサE-TSと呼ばれるフルタイム4WDシステムと組み合わせたピュアスポーツカーだ。
凄まじい出力を誇るだけに最初は腰が引けたが、実際に走り出すと、すぐに安心してアクセルを踏み込むことができた。クルマとの対話性が高く、状態把握がとてもしやすいこと、そして積極的なドライビングを行うほどにイキイキとそれに応えてくれる4WDシステムのおかげである。フルタイム4WDとはいえ通常はほぼ後輪駆動に近い状態で走るGT-Rだが、アクセルを踏み込んでテールスライドが起きる領域に来ると、前輪にも駆動力が配分されてクルマを安定させる。おっかなびっくり走らせるより、しっかりアクセルを踏んだほうが速く、楽しく、しかも安定してくるのが面白い。
日産には、すでにこうした4WDのヘリテージとでも言うものが存在している。今後、駆動力制御でブランドの味を表現していくとするならば、リファレンスはまさにGT-Rということになるのかもしれない。
今年、日産にはおそらくe-POWER、そして4WDメインのエクストレイルの新型が控えている。一方、BEV(バッテリー電気自動車)の軽自動車も投入予定だ。これらの電動化モデルで表現される日産らしい走りはどんなものか、確かめられる日が今から楽しみになってきた。
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