たとえば雪道では、勾配路面での発進、加速の際にe-POWER 4WDは一般的な4WDよりも前後輪の車輪速の差が小さいという。通常は前輪が空転気味になったところで後輪に駆動力が回るため、前後輪の車輪速には差が出がちであり、そうなると直進性が損なわれて微妙な進路の修正が必要になる。e-POWER 4WDはその修正が非常に小さくて済むようだ。
また氷結路で40km/hからのアクセルオフで減速を試みた場合には、先代に較べて制動距離が実に40%も短縮できたとされる。これには後輪でも回生が行われ、その減速力により車体の浮き上がりが抑えられるのが効いている。そのため一層安定した姿勢で停まることができるのである。
簡単にスピンせずに右足で緻密にコントロール
そうした美点、利点を改めて認識した後、実際にステアリングを握って体感してみた。まずはノート オーラe-POWER 4WDで定常円旋回を行う。足元に履いているのは当然スタッドレスタイヤだ。
VDC、いわゆる横滑り防止装置をオフにして円形の氷上路をグルグルと回る。速度が高まってくると車両はステアリングを大きく切り込んでも曲がっていかない、いわゆるアンダーステアの状態になる。ここでアクセルをオフにするとタイヤがグリップを回復して車体は徐々に向きが変わり始める。そのタイミングを見計らってアクセルペダルを再度踏み込むと、クルマはドライバーの曲がりたいという意図を舵角、車輪速などから判定してリアモーターに多くの駆動力を与え、結果としてクルマは軽いドリフト状態に入る。
フロントモーターも駆動して車体を前に引っ張っているから簡単にスピンすることはなく、絶妙の角度を保ったまま何周もグルグル、リアを適度に滑らせたまま回り続けることができる。氷上には固まってグリップするところもあれば溶けて水が出て滑りやすいところもあるのだが、出力を右足の動きで緻密にコントロールできるので、姿勢を乱すことなく走り続けることができるのだ。
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