「高級食パン指数」における「ブーム以外」の影響を抽出するため、「高級食パン景気指数」をGoogleトレンド「高級食パン」(キーワードの検索回数)で回帰した残差をみると、2020年央から2021年央にかけて押し上げ方向に寄与したことがわかる。
ちょうど、コロナ禍の行動抑制が強かった期間であり、コロナ禍が「プチ贅沢」や「巣ごもり消費」を促していたといえよう。足元ではこの回帰残差の押し上げ効果が低下しているため、消費マインドは弱くなっている可能性がある。「高級食パン」の不振の背景には、マクロ的な消費者の変化もあるようだ。
「サービス消費」回復なら「巣ごもり消費」は減る
むろん、「巣ごもり消費」が減ってきた背景にはワクチンの普及などによる「経済再開」という面もあるため、日本経済全体にとって必ずしも悪い話ではない。しかし、「経済再開」によるサービス業の回復と「巣ごもり消費」の維持は両立しないという事実も重要である。「経済再開」への期待が高まる中、財消費(モノの消費)が抑えられることで、消費全体としてはそれほどアップサイドがないのかもしれない。
また、当面の個人消費の最大の課題は「食品値上げラッシュ」である。「巣ごもり消費」や「プチ贅沢」の減少に食品値上げの影響が加われば、消費マインドの悪化は免れないだろう。
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