日本銀行は金融政策について、ターニングポイントを迎えている可能性が高い。ただし、ここでは足元のエネルギー価格の上昇を背景に「日銀は利上げする」ということを主張するわけではない。もう少し長期的な視野に立った金融政策の論理の話であることを最初に断っておきたい。
もちろん、ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに、「現代版オイルショック」ともいえそうなエネルギー価格の上昇が生じている。日本の消費者物価指数上昇率は携帯電話通信料の引き下げによってテクニカルに押し下げられているが、この影響が剥落する4月以降には日銀の目標である2%に達する可能性が高くなってきた。
実際の数字はガソリン補助金などの政府対応(消費者物価指数をテクニカルに下押しする)次第の面があるものの、日銀が「金融緩和を止めるべきである」という議論は出てくるだろう。
日銀審議委員の人事と最近の論文に注目
しかし、筆者が注目している点は最近の日銀をめぐる動きである。例えば、①リフレ派ではない審議委員の人事決定、②インフレ実感の上昇は家計の値上げ許容度を低下させるという趣旨の論文発表。これらは、日銀をとりまく風向きが少し変わってきたことを示すのではないか。
前者についてはあまり重要な意味を持たない可能性が高いが、後者は日銀の金融政策の論理にも関連する重要な動きである。
繰り返しになるが、足元の「現代版オイルショック」への対応としてすぐに日銀が金融引き締めに動く可能性は低い。一方で、日銀の金融政策が長期で見たターニングポイントを迎えている可能性は高い。
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