こうした今どきドラマの要素を加えていることで飽きません。1話あたり1時間前後の尺で計12話と、ある程度ボリュームがある作品ですが、長回し撮影で恐怖と緊張感を煽るシーンと韓国風味のコメディパートで緩急をつけ、満足感が増します。この安定感は監督のイ・ジェギュと脚本家のチョン・ソンイルは共にテレビや映画作品をこれまで多く手掛けてきた人物であることからも納得できます。
ゾンビ・ウイルスの「新型」発生
そもそもゾンビ設定のドラマは一定数のファンを集めながら、ニッチなジャンルから過去のブームを経て、定番化しています。一方、ゾンビもの最大ヒット作であるアメリカFOXの『ウォーキング・デッド』を越える作品はまだ生まれていません。つまり、ヒットのチャンスがある鉱脈としてゾンビに目を付けたことは単なる偶然ではないでしょう。本作が注目集める理由は一過性のものではありません。ただひとつだけ、タイミングも味方につけていました。
それは「ゾンビ・ウイルス」という概念そのものがコロナ禍によって、以前よりも身近に感じるようになっていることと関係しています。デルタ株、オミクロン株と次々と新たな変異株が発生している現状を目の当たりにする今、実は本作でも新型のゾンビ・ウイルスが生まれてしまうストーリーを組み込んでいます。この展開によって中盤のダレを防ぐどころか、むしろ勢いをつけ、シーズン2へ持ち越す役割までありそうです。
また学校を越えて街中にゾンビ・ウイルスが浸透し、当局が緊急事態を宣言します。感染の疑いのある者を強制的に隔離する描写などもあり、現実の世界で起こっていることと重なります。不安に駆られる方にはオススメできませんが、大災害の中で起こる様子の描き方は綿密です。
今のタイミングで新型ゾンビや隔離施設を扱ったこともNetflixで初登場世界1位の記録を韓国ドラマがまたひとつ作り上げた理由のひとつにあるのではないかと思うのです。世界的に一気に知名度を上げた『今、私たちの学校は…』。ちなみに英語タイトルは『All of Us Are Dead』です。歯切れの悪い日本語タイトルだけが玉に瑕。これ以外はゾンビドラマとして文句ない作品です。
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