『今、私たちの学校は…』は学生が主役のドラマとして、そして学校を舞台にしたゾンビものとして成功していることが大きな理由にありそうです。時にスクールゾンビものは不利にも働きます。若手俳優たちの初々しいゾンビ演技やアクションシーンに視聴者が付き合いきれなくなる危険性があるからです。ただし、『今、私たちの学校は…』はそんな心配とは無縁です。ゾンビファンも納得のクオリティを保っています。作品によっては走るゾンビから喋るゾンビまでいろいろな設定があるなかで、今回のゾンビは凶暴性を露わにしながら学生たちに次から次へと襲い掛かり、増殖させていきます。
その舞台はショッピングモールでも列車でもなく、学生にとって最も身近な教室や廊下です。学校という箱を4階建ての大型セットで作り上げ、その中でゾンビシーンを効果的に見せつけているのです。200人近くの俳優たちがカフェテリアで繰り広げる第1話の血みどろのゾンビアクションシーンから一気に引き込まれていくはずです。
『イカゲーム』『賢い医師生活』あの名優も
今回の作品で主役のオンジョ役に抜擢されたのは、世界の映画祭で50冠を超える受賞歴のある韓国映画『はちどり』で主役を務めたパク・ジフです。大人でも子どもでもないモラトリアム時期特有の学生を本作でも瑞々しい演技で魅せます。
ほか、メインキャスト17人の面々はいずれも実力で勝負する新人の役者で固められ、友情や恋、大人たちへの反抗心、将来への不安など等身大の学生キャラクターたちが嫌味なく作り上げられています。そこには『イカゲーム』のヒロイン・セビョク役(チョン・ホヨン)と友情関係を築いたジヨン役を演じたイ・ユミも含まれます。今回は裕福な家庭に育った性格に難があるナヨン役。波乱を巻き起こしていく1人です。
また学生たちを取り巻く大人たちの配役は『賢い医師生活』や『海街チャチャチャ』『椿の花咲く頃』『ヴィンチェンツォ』など韓国ドラマで活躍する名バイプレーヤーが揃っています。
この次世代を担う役者たちと長年韓国のエンターテインメント界を支えてきた役者たちの組み合わせの良さも本作が支持される要素にあると思います。
言わば、世界的に知られるBTSのような新世代からオスカー俳優を輩出するベテランまで、次に控えている人材があまたいることを感じさせるからです。
一方、テーマそのものも学生と学校を主役にしたゾンビドラマとして成功していると言えます。原作は韓国のウェブ漫画の人気作。どこの国にも共通する学生の「いじめ」が本作のテーマのひとつにあり、韓国ならではの超学歴社会や『イカゲーム』でも使われた格差問題なども扱っています。
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