円安・低成長「日本」とウォン高・高成長「韓国」の差 「下がり続ける円」が本当に意味するところ

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さらに悪いことに、日本銀行が実際に達成できたインフレのほとんどは、円安と2回の増税の結果に過ぎなかった。アベノミクスが国内経済を強化してインフレを実現していたのなら、それは朗報となっていただろう。しかし、輸入品の価格上昇によって消費者物価指数が上がっている状況では、メリットよりデメリットの方が多い。

円安になれば、日本の輸出品の値段が下がると同時に、輸入品の値段は上がる。消費者支出の40%近くは、エネルギー、衣服、靴、および食品など、輸入に大きく頼る品目への支出だ(カロリーで計算すれば、日本の食料の60%は輸入品なのだ)。

2012年から2021年で、これらの品目の価格は、消費増税を無視しても12%上昇している。それに対して、消費者支出の残り60%を占める輸入に大きく頼らない品目への支出は、同じ期間で0.7%増という、ゼロ同然の増加にとどまった。つまり、消費税を除く消費者物価指数の上昇全体の90%を超える部分は、輸入に大きく頼る品目の値段の上昇によるものだったのだ。

円安は巨大企業を肥えさせるだけ

OPECが原油価格を上げれば日本は苦しむ。それとまったく同じで、輸入品の値段が上がると日本は苦しむのだ。しかし、それだけではない。円安は日本の家計にとってマイナスであると同時に、日本の巨大多国籍企業にとってはプラスに働く。つまり、円安は間接的に、日本の消費者が手にすべきだった収入を、巨大企業が手にするという構図を作り上げるのだ。

こうした巨大企業がその収益増を労働者に還元していれば、そこまで大きな問題とはならない。しかし、実際には還元は起きていない。日本で規模がトップ5000に入る企業においては、経常利益は2012年から19兆8000億円(1720億ドル)も増加したが、労働者への報酬はわずか2兆7000億円(235億ドル)の増加にとどまった。

岸田政権は、アベノミクスでは「トリクルダウン」理論が提唱されたものの実際ほとんどトリクルダウンは起きなかったと言っており、これは正しい。しかし残念ながら、そう言いつつ、岸田政権が何か行動を起こすような兆しは、現時点では見えていない。

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