円安・低成長「日本」とウォン高・高成長「韓国」の差 「下がり続ける円」が本当に意味するところ
その結果、韓国は日本とは異なり、2008年から2009年にかけてのリーマンショックやコロナ禍など外国で何かがあっても、その影響をもろに受けることがない。
2020年、日本ではコロナの感染者数が他国より少なかったにも関わらず、コロナ禍によってGDPが4.6%も低下した。一方、韓国のGDPは、わずか0.9%の低下で済んだ。さらに、日本はそこからの回復がはるかに緩慢だ。IMFは、日本の2023年のGDPは2019年の水準からわずか0.2%の上昇にとどまるのに対して、韓国は6%も上昇すると予想している。
最も重要な違いとは、日本は低賃金/通貨安という戦略に頼って輸出を勢い付けているのに対して、韓国は効率性の向上と革新的な製品、つまり通貨高/高賃金という戦略で輸出を勢い付けているという点だ。
2005年から2019年まで、日本の製造業では、労働者1人あたりの生産高は25%上昇したが、報酬(給与プラス福利厚生)は1%の上昇という、ほとんど上がっていないに等しく、労働者は生産高の向上の恩恵を受けられていない。それに対して、韓国の生産高は57%上昇し、労働者の収入も52%上昇した。
その結果、2005年の時点では、製造業に限らず、あらゆる業界の韓国の労働者の年収は日本と比較して12%低かったが、2020年には9%高くなっていた(この変化は、日本で低賃金の非正規雇用の人が増えたことが原因ではない。韓国も同じ状況だからだ)。
生活水準の向上を伴わない競争力は、本当の競争力ではないのだ。
安倍首相と黒田総裁は就任当時、2%のインフレ率が達成できれば万事上手く行くと、そして黒田総裁ならその目標をわずか2年で達成できるだろうと、確信していた。しかし、その目標には近づくことすらできなかった。
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