全米を席巻!「日本のお菓子サブスク」成功の秘訣 K-POPが巻き起こしたアジア人気の波に乗る

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ボックスのような日本のお菓子のサブスクビジネスに参入する競合も増えているが、彼らは日本のアニメキャラクターを起用したり、オタク文化を表す「Weird(奇妙)」「Wacky(奇抜)」といった言葉をマーケティングに使ったりしているが、それでは「多くの人になじみのないものになってしまうだけ」(タン氏)。

日本でも「クールジャパン」信仰は強く、キャラクターなどを描いたパッケージでなければアメリカ人に売れないのではとの考えも根強い。ただタン氏は、「伝統的なものこそ売れるし、原料や味、パッケージも変える必要はない。長年続けてきたように作ればわかってもらえる」と指摘する。

成長を続けるボックスは昨年末、アジアの食料品を販売する北米向けのネットスーパー事業「ボックス・グローサリー」を開始した。これに合わせて初めて大型の資金調達も実施。これまではサブスク事業で出た利益を運転資金にしてきたが、アメリカのベンチャーキャピタルなどから2200万ドル(約25億円)を調達し、ネットスーパーの強化に充てる。

ネットスーパーで日本食をより身近に

ネットスーパー事業「ボックス・グローサリー」では、お菓子だけでなくコメや調味料、インスタント食品など食料品全般を扱う(写真:Bokksu )

ニューヨーク近郊のニュージャージー州に倉庫を設け、そこからアメリカとカナダの全域に発送する。まずは常温保存可能な商品から始め、今年半ばには冷凍品や酒類の取り扱いも始める予定だ。現地のスーパーで流通している商品だけでなく、ボックスが独占的に取り扱う商品もそろえる。

今回の資金調達では、食品専門店「久世福商店」などを展開するサンクゼールと資本業務提携を締結。ネットスーパーでは同社の人気商品「あんバター」や「なめ茸」など多数の商材を導入し、共同のプライベートブランドを開発する方針だ。

「私はゲイのアジア人。今回2200万ドルを調達し、1億ドルの企業価値がついた。それを10億ドル以上に育てて、マイノリティでも大企業がひしめくアメリカで成功できることを示したい」。創業者タン氏は大きなアメリカンドリームを抱き、挑戦を続ける。

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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