全米を席巻!「日本のお菓子サブスク」成功の秘訣 K-POPが巻き起こしたアジア人気の波に乗る

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

さらにタン氏は、アメリカ人の固定観念を改めて感じたという。「日本に対するイメージはとても画一的だった。多くの人は日本といえば芸者を想像し、日本人が毎日寿司を食べると思っている。だがそのことを嘆くのではなく、(固定観念を)変えられるだけのインパクトを与えたいと考えた」。こうしてボックスを立ち上げたのだ。

とはいえ、メーカーとの取引実績ゼロからのスタートだ。そこでまずは新宿高島屋のデパ地下などの小売店でお菓子を調達。古巣である楽天や、アマゾンなどのネット通販(EC)を使うこともあったという。

だが、ユーザーが増えてくるとそれも限界に達した。日本中のメーカーに直接連絡を取り始めたが、当初ボックスには日本法人がなく、数百社に連絡しても取引に応じてくれたのは5%に満たなかったという。

アメリカ国内ユーザーの5割が白人

そんな中、最初に取引先になってくれたのはラスク専門店の「東京ラスク」だった。2016年4月、購入者はまだ40人ほどだったという。「100個ほどしか購入しなかったにもかかわらず、卸売価格で提供してもらい、クレジットカードで決済させてくれた」(タン氏)。

2018年には日本法人を設立し、「メーカーからの信頼を得やすくなった」(タン氏)。今では100以上の菓子メーカーと取引関係にある。

中国系カンボジア人を両親に持つダニー・タンCEOは、地道に日本の菓子メーカーを開拓してきた(写真:Bokksu)

課題は商品調達だけではない。日本からアメリカ、さらに世界各国へと展開するための物流体制を一から構築しなければならなかった。当初は小売店で購入したものを新宿に住む友人のマンションへと送り、そこで大きな箱に詰め直し、EMS(国際スピード郵便)でアメリカへ発送していた。

当然それも長くは続かず、物流のパートナー企業を見つけ世界100カ国へと配送する体制を築いた。その後も紆余曲折あり、現在はアメリカの倉庫にまとめて配送し、そこから各家庭に届ける体制にしている。

現在ユーザーの8割はアメリカ在住で、残りの20%はカナダ、オーストラリア、イギリス、シンガポール、ドイツなどで構成されている。

日本のお菓子に興味を持つのは主にアジア系の人、と思うかもしれない。だがボックスのアメリカにおけるユーザーを見ると、50%は白人が占め、25%はヒスパニックや黒人、残りがアジア系だ。「アジア系以外が多いからこそ、(アメリカ社会への)インパクトも大きい。日本の食べ物を知ってもらえれば、文化自体が身近になる」とタン氏は強調する。

人種を超えて広がった背景には、日本の文化を過度にエキゾチックなものとして描かなかったことがあるという。

次ページ「クールジャパン」の幻想
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事