交通事故死の4倍!「住宅内の事故死」深刻な実態 年1万3000人も死亡、2021年のコロナ死に匹敵

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2019年の住宅内の不慮の事故死者数1万3800人の内訳は、多い順に「溺死及び溺水」(5673人)、「窒息」(3187人)、「転倒・転落・墜落」(2394人)となっている。

このうち「溺死及び溺水」の要因の1つに「ヒートショック」がある。これは暖かな空間から寒い空間に移動した際、急激な温度変化により血圧が乱高下し脳内出血や大動脈解離、心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こすことをいう。

断熱性の低い住宅の場合、冬期には脱衣所が氷点下近くになることがある。お風呂のお湯との温度差は40℃くらいで、この大きな温度差がヒートショックを招き、浴槽内で意識を失ったりして溺死するというのが発生要因の1つだ。

住まいの断熱性能には窓が重要な役割を担う。画像は断熱性能が高い窓(左)とそうでない窓を可視化したもの(筆者撮影)

余談だが、この手のテーマはすでに何度もメディアを賑わせており、読者の方々も目にされたことがあるだろう。

とくに今のような寒さが厳しい時期にヒートショックが多くなることから、ハウスメーカーやリフォーム事業者もこの時期に「おうちの断熱性能を高めませんか」などという提案を強化するし、メディアにもそれに関連する話題が増えるわけだ。つまり、決して目新しい話題ではない。

全体の30%を占める無断熱住宅

裏を返せば、それだけ日本には断熱性能が低い住宅が数多く存在するということで問題の深刻さを表している。国土交通省によると、日本にある住宅(約5000万戸)のうち、「無断熱」住宅が約1500万戸(30%)を占めるという。

そのほとんどが1985年以前の住宅、つまり築40年以上経過したものであり、当然ながら冬期の室内は非常に寒くなる。そこで暮らす多くの人たちが高齢者であると推察され、ヒートショックによる体の異変にさらされる可能性があるわけだ。

40年以上が経過した住宅では、「転倒・転落」の危険性も高い。同じフロア内でも段差があり、階段が急なことが多く、足腰が衰え、骨が弱くなったお年寄りの場合、わずかな段差でつまずき大けがになることがある。ましてや階段から転げ落ちたら命を落とすことにつながる。

さて、住宅内の事故死者数が多い理由に、事故を防止するためのソリューションが導入される機会が非常に少ないことがあると、筆者は考えている。それを理解していただくためには、住宅と自動車の比較がわかりやすいだろう。

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