交通事故死の4倍!「住宅内の事故死」深刻な実態 年1万3000人も死亡、2021年のコロナ死に匹敵
住宅内での事故による死亡者数以上に深刻なことは、死亡には至らないものの、近い将来死亡につながる、あるいは体に深刻な後遺症が残る事故が住宅内で日常茶飯事に起こっている可能性があることだ。
東京消防庁がまとめた「救急搬送データからみる日常生活事故の実態(2019年)」によると、都内で救急搬送された14万4767人のうち、5割強の7万4677人が「住居等居住場所」での事故によるものだったとしている。
この資料には発生要因が明示されていないが、例えば高齢者が脳内出血や大動脈解、心筋梗塞、脳梗塞などを発症した場合、その後の生活が不自由なものになることは想像にかたくない。
住宅の安全・安心に関するソリューションは事故が発生してから導入される、つまり後手に回り対処療法的になりがちなのも問題点の1つと言えるだろう。
新築でも多い安全配慮に欠けた住宅
では、住宅内での事故・事故死者数の減少に向けた抜本的な取り組みについて、最後に簡単に紹介しておく。その1つに、国や事業者によるZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)をはじめとする省エネ住宅の普及がある。
省エネ住宅がなぜ安心・安全な暮らしの実現につながるのか疑問に思われる人もいるだろうが、省エネ性能を高めるには建物の断熱性能の強化が必要。無断熱住宅をZEHなどに置き換えることで、少なくともヒートショックが多発する現状を改善できると考えているわけだ。
もう1つ、近年の大きな傾向として、とくに高齢者による住宅内事故の防止策とヒートショック改善の関係について、医療関係者がエビデンス(根拠)を示すケースが増えている状況があげられる。
「餅は餅屋」ではないが、これまで住宅は建設・建築関係、病気やケガは医療関係者(あるいは介護関係者)が問題解決策を探ってきたのだが、それでは問題の解決スピードが遅かった。それが変わりつつあるのだ。
ちなみに、解決策として推奨されているのが、「省エネ住宅+24時間全館空調システム」を導入すること。要は、高い断熱性とどの場所にいてもほぼ一定温度の住空間を実現することが重要というわけだ。
いずれにせよ、国や良心的な住宅事業者が住宅内事故・事故死が多いことに危機感を抱いているのは事実である。その一方で、例えば、急な傾斜の階段が設置されるなど、安全性への配慮に欠けた住宅を供給する事業者もいまだ存在するのは残念な現実である。
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