14の精神疾患と闘ってきた47歳彼女の壮絶な半生 ライター歴24年、初めての単行本に込めた願い

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「とあることから婚約者と別れることになってしまい、その時に『そういえば私はもともと、音楽系のライターになりたかったんだ』と思い出しました。

ただ興味は音楽からいわゆるサブカルチャーに移っていて、当時流行っていた悪趣味系と呼ばれるような雑誌で仕事をするようになりました」

体験系のライターは実際に体を張ったかなり厳しい仕事が多い。かなり過酷な仕事も瀧本さんは受けたし、数多くこなしていった。

人気が出始めて、依頼はひっきりなしに来るようになった。サブカル雑誌の原稿料は、情報誌の原稿料に比べたら安かったが、それでも生活するには十分な額を稼げるようになった。

ただ取材の時は“明るく楽しいタッキー”でいられたが、家に帰ってくるとひどく落ち込んだ。自殺未遂をしたこともあった。

精神薬のリタリンなしでは生活できなくなった

「その頃から向精神薬のリタリンを服用するようになりました」

リタリンは睡眠障害、ナルコレプシーやうつ病などの治療薬として使用されている向精神薬だった。

瀧本さんは病院で正しく処方してもらっていたが、使用方法は正しくなかった。細かく砕いて、鼻から吸引していた。そのほうが効きは良いと聞いたからだ。最初は猛烈な痛みが襲ったが、すぐに慣れた。

そしていつしかリタリンなしでは生活できなくなった。

「リタリンを吸引し続けると、眠気と倦怠感が吹き飛ぶんですね。3~4日なら完徹(完全な徹夜)で仕事ができたし、疲れもほとんど感じませんでした。ほとんど食事もせずにすんだし、収入も増えました。夢のような薬だと思いました」

ただもちろん、そんな夢のような薬はあるはずもなく、強い反動が瀧本さんを襲った。

鼻で吸引していることから、粘膜をやられてしまいずっと鼻水が出ているような状態だった。ポケットティッシュでは間に合わず、トイレットペーパーを持って歩いていた。

薬が切れかけの時には、頬を擦り傷だらけに自傷した。

薬が完全に切れてしまった時には反動で動けなくなり、丸2日間眠り続けてしまったり、締め切りや打ち合わせを飛ばすこともあった。

周りから見たら完全にリタリンにハマっている状態だった。

「いろいろあって、私がリタリンをやめるまでを追いかけるドキュメントテレビ番組が制作されることになりました。病院に入院しながら、リタリンを断つまでの数カ月間、テレビに密着取材されました」

次ページ通常1年かかる断薬を1カ月で断つ無茶なプログラム
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