37歳大阪で農業を営む男が「天職」に辿り着けた訳 フリーライターとの兼業で、したたかにたくましく

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なりたい自分を見つけ、生産する側へシフトし農家とフリーライターを兼業する伊藤さん(写真:筆者撮影)
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これまでにないジャンルに根を張って、長年自営で生活している人や組織を経営している人がいる。「会社員ではない」彼ら彼女らはどのように生計を立てているのか。自分で敷いたレールの上にあるマネタイズ方法が知りたい。特殊分野で自営を続けるライター・村田らむが神髄を紡ぐ連載の第102回。

大阪府能勢町で農業を営む

伊藤雄大さん(37歳)は現在、大阪府能勢町にある一軒家に奥さんと猫たちと暮らしている。家の周りには畑が広がっており、伊藤さんも農業で収入を得ている。

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ただし農業と聞いて想像するような、一面に広がるキャベツ畑……というような光景はない。

伊藤さんの畑には実にさまざまな野菜が植えられている。家のすぐ隣にはビニールハウスも設置されていて、その中でも所狭しといろいろな植物が栽培されている。

タイバジルとパクチーが植わっていて、その近くには観賞用のハボタンが育っている。季節ごとにナスやニンジン、ネギなどの一般的な野菜も栽培している。

そんな感じだ。

「タイバジルはタイ料理店に頼まれて育てています。それらの香草は比較的高単価で販売できますね。野菜はなるべく需要に合わせて栽培するようにしています。

(写真:筆者撮影)

栽培するだけではなく、山に入ってスギやフジの蔦を切ってきてクリスマスリースを編むこともありますし、なんなら松ぼっくりを拾ってきてそのまま販売します。

いろいろな商品を売って、つねに小銭を集めるような感覚で稼いでいます」

伊藤さんが、収穫物を出荷しているうち7割が『道の駅』だ。道の駅とは、30年ほど前から道路沿いに設置されるようになった商業施設だ。ドライブ中に休憩や食事のために立ち寄ったことがある人も多いだろう。

多くの『道の駅』では、地元で収穫された野菜などが販売されている。町民であれば、会費を出して登録したら、自由に販売することができるという。億単位の売り上げがある『道の駅』もあり、農家とは非常につながりが深い。

(写真:筆者撮影)

それ以外の3割は、飲食店に直接販売している。また野菜の種などを、小分けにしてネットで販売しているのも多少の収入になるという。

「現在、農業だけで年間150万円ほど稼いでいます。もちろんそれだけでは食べていくのは厳しいですがフリーライターもしています」

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