「よく都会で悩んでる人は田舎に来たらいいのに、と思います。農業は手をかけたぶん、きっちり返ってきます。丁寧に育てたらよく育つし、ほったらかしておいたら育ちません。自然に努力が認められているようで、自己肯定感が高まります。
ただいきなり仕事を辞めて
『これから俺は専業農家になる!! オーガニック!! 里山保全!!』
と意気込んで農業をはじめる人は失敗する可能性が高いです。
仕事を辞める前に、一度畑を借りてやってみるといいと思います。意外とできますし、どれくらい稼げるのか、おおよそわかってくると思います。
田舎では兼業で農業をしている人が多いです。育てて、収穫して、自分で食べて、たくさん収穫できたら売って……と、とても健全にやっています。商売として考えすぎず、生活の中に農業を組み込んでいくとうまくいくと思います」
都会の生活に疲れた人が、田舎で農業をしてのんびり過ごしたいという気持ちはわかる。
「都会ではたくさんの人と交流しなければいけないから、疲れてしまう。なるべく1人で気ままに生きたい」
という人もいるだろう。
田舎なら50歳でも十分に若い人材
「田舎は人材の受け皿があります。50歳くらいなら十分、若い人材として通ります。村に人手が不足している場合、とても歓迎されると思います。
ただし、田舎だから人と交流しなくていいということはありません。田舎だからこそむしろコミュニケーション能力は必須なんです。
たとえば路上駐車していたとか、人の悪口言っていたとか、ネガティブな話は田舎では広がりやすいです。逆に、毎日草取りをしたり、消防団に入って活動したり、とポジティブな行動をとったら仲良くなれます。
田舎暮らしでは、都会のマンション暮らしでは気にしなくていい、人と人とのつながりがとても大事になります。
これには向き不向きも大きいと思います。
僕は子供の頃は田舎が嫌だったんですけど、いざ東京に住んでみたら満員電車が本当に苦手だったんですね。それからあらためて田舎に住んでみたら、とても居心地がよかった。結局、僕には田舎が合っていたということですね」
と伊藤さんは笑いながら話してくれた。
したたかに、たくましく、「田舎暮らしの兼業農家」という夢を叶えている伊藤さんがとてもうらやましく思えた。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら