14の精神疾患と闘ってきた47歳彼女の壮絶な半生 ライター歴24年、初めての単行本に込めた願い

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そんなある日、家の前にある畑に原爆が落ちた。

窓は閃光で真っ赤に染まり、ベッドに座る瀧本さんを照らした。

「家の目の前に原爆が落ちたのでビックリして外に出ると『はだしのゲン』のような世界が広がっていました。ビルは焼け崩れ、廃墟と化していました。ムンとした熱が皮膚をチリチリと焼き、熱で溶けたアスファルトが履いているサンダルを溶かしてネチャッと地面にはりつきました」

気がついたら瀧本さんはなにごともなくベッドに座っていた。

すべて幻覚だった。

だがとても幻覚とは思えないくらいハッキリとした体験だった。

この時はすぐにわれにかえることができたが、なかなか戻って来られないこともあった。

「自分のことを製造番号405番(容子=405)のアンドロイドだと思いこんでしまったこともありました。アンドロイドなのに人間の心を持ってしまったと思い込んでいる私は彼氏に恋愛感情を抱いていることが苦しくて、

『わたしはアンドロイドだ。胸が苦しい。どうしてくれる』

と彼氏を責め続けました。だいぶ困惑させたみたいです。この症状は3週間以上続きました。

はたから見たら、完全に頭がおかしくなってたと思います。

症状は合法ドラッグを止めた今も残っています。残遺性障害といわれる障害だそうで、フラッシュバック(過去の記憶が急に鮮明に思い出される現象)が起きたりします」

瀧本さんが危険ドラッグを止めたのは、自らの意思ではなかった。

瀧本さんと同じように、危険ドラッグにハマって抜けられなくなる人が多かったため、規制が強くなったのだ。ある時をさかいに、パタッといっさい買えなくなってしまった。

そしてアルコール度数の強いお酒を常飲するように

「それで最終的にアルコールにハマりました。アルコールは若い頃から飲んでいたんですが、リタリンや合法ドラッグをやっていた時はあまり飲んでいなかったんですね」

瀧本さんのような人にとって、アルコールは販売が規制されることがない危険なドラッグだと言える。

通信販売でアルコール度数9%の強い酒を箱買いして、毎晩泥酔していた。

医者には、

「あなた、このままお酒をやめないと、5年後には認知症になるわよ」

と釘を刺された。

だが、瀧本さんは、

「医者は大げさなことを言うなあ」

と思うだけで、取り合わなかった。

ガンマ数値が強制入院のレベルまで高まってしまった。

しかし、アルコール依存症が結果的に瀧本さんの命を救うことになった。

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