ヨーロッパで広がる「オミクロン楽観論」の危険 パンデミックは収束からはほど遠い
専門家によると、検査や隔離などの予防措置は引き続き不可欠である。また、科学者によると、今後冬季に新型コロナウイルス感染者が増加した場合、短期間のマスク着用義務化が、感染者数を抑制して、病院が他の呼吸器疾患の患者に対処できるようにする手段になる可能性がある。
24日にWHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェソス事務局長は、現在でもパンデミックはまさに緊急期にあると語った。
テドロス事務局長はWHO執行理事会で、「オミクロンが最後の変異株になるとか、パンデミックは終盤に入ったといった考えは危険だ。それどころか、世界的には、新たな変異株の出現に理想的な状況だ」と述べた。
オミクロンのピークは2月半ば?
この2年間、世界中の人々は、ウイルスが予想を裏切るように進化する手に負えないありさまをうんざりするほど目にしてきた。昨秋、ワクチン接種が進み、デルタ株の勢いが弱まって、正常に復帰するという予想がなされた。だが、実際には世界はオミクロン株に不意打ちをくらわされた。
オミクロン株ほど急速に広まった変異株はこれまで見られなかった。昨年12月初めに報告された世界の感染者数は1日あたり約60万人だったが、現在は1日あたり300万人超に急増している(検査へのアクセスの問題や、自宅での検査が必ずしも公式統計に表れないという問題があるため、感染者数は実数より少なく報告されているという見方が大勢だ)。
ヨーロッパの大半やアメリカではこの数字は横ばいに推移しているが、オミクロン株が浸透し始めたばかりの地域では、新規感染者の報告数は驚異的な数字になっている。
ドイツのカール・ラウターバッハ保健相は、感染は2月中旬にピークに達し、新規感染者数は1日あたり60万人になると予想していることを明らかにした。現在、オミクロン株は、ワクチン接種率が低い多くの国を含め、中東欧全域でも広がりつつある。
また、厳格なロックダウンを実施して「ゼロコロナ」政策を追求するアジア諸国は、オミクロン株の爆発的感染を防ぐという困難な課題に直面するだろう。
しかし、まさにこのオミクロン株急増のスピードと規模が理由となって、一部の公衆衛生当局者は、各国がこの最新の波からどれだけ早く脱出できるかに関して、慎重ながらも楽観的な見方をしている。南アフリカやイギリスのように、すでにオミクロン株であふれかえっている地域では、感染者が急激に増加した後に、著しく減少することが多い。