ヨーロッパで広がる「オミクロン楽観論」の危険 パンデミックは収束からはほど遠い
1月24日に世界保健機関(WHO)の高官は、オミクロン株の驚異的な感染拡大によって、ヨーロッパでは今年、パンデミックが「圧倒的で抗えないもの」から「管理可能なもの」に移行する準備が整う可能性があると語った。それぞれの国がウイルスを抑えつけながら制限を緩和できるようになる方法が、垣間見える可能性があるという。
このほのかな希望には、大きな警戒が必要だ。感染の急増によって得られる免疫はおそらく低下していき、新たな変異株が出現する可能性は高く、世界はいまだ、医療システムを圧迫するおそれのある感染急増に脆弱だ。西ヨーロッパよりワクチン接種率が低く死亡率がかなり高いアメリカでは、パンデミックを手なずけるまでにはさらに大きなハードルが存在する。
先行きはまだ見通しにくい
WHOのハンス・クルーゲ欧州地域事務局長は、24日の声明で各国に向けて、世界にはワクチン未接種の人が非常に多く、油断は早計であると警告した。それでも同氏は、ワクチン接種と感染に伴う自然免疫が相まって、「オミクロン株は安定と正常化への希望をまことしやかに提供している」と述べた。
しかしながら、引き続き残る問題は、ニューノーマルがどのように見え(2019年には悲惨なものに見えた状況が、2022年には大きな改善を示すものになるかもしれない)、それがどれくらい持続するかだ。
科学者によると、オミクロン株が人々にはるかに高い水準の免疫を残すのは間違いないという。しかし、今後、パンデミックが落ち着くまでの間に、世界がこのウイルス感染症の急増がもたらす命にかかわる破壊的な状況に耐えなければならないかどうかは、まったく明らかではない。
クルーゲ氏は、ヨーロッパはロックダウンに訴えなくても新たな波に耐えられると考えていると表明したが、ヨーロッパ諸国は依然として、他に採ることのできる手段を見定めようと取り組んでいる。科学者によると、ヨーロッパでは世界の他の地域よりも容易に新たな抗ウイルス剤を入手できるが、それでも各国にはより迅速な投与が求められる。