ヨーロッパで広がる「オミクロン楽観論」の危険 パンデミックは収束からはほど遠い

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オミクロン株は重症化しにくく、最悪の事態に対しては依然としてワクチンの保護が有効であることを示す研究結果が発表されているために、公衆衛生専門家の中には、記録的な感染急拡大の時期に、感染者数に注目するよりも入院者数を重視することを勧める人もいる。

しかし、科学者は、過去の感染によって獲得した保護は時間が経つにしたがって弱まる可能性があり、将来に出現してくるウイルス変異株には有効でない可能性もあることを警告している。例えば、デルタ株に感染しても、オミクロン株に対する保護は最小限にとどまった。

パンデミックが終わるのはまだ先

科学者によると、急速に感染が拡大する新たな変異株が出現する可能性が非常に高いという。そうした新変異株が引き起こす病状は軽くなる一方だと考えられる理由はない。

科学者の見方では、新型コロナウイルス感染症は最終的に風土病(つまり、この疾病の状況が一部で永久的に続く)になって、より予測可能な水準で循環し始めるという。その段階で脅威がどの程度深刻なものになるかは、各国が許容可能な疾病のレベルをどこに定め、病院がどれだけ対応できるかに大きく左右される。

パンデミックのこの段階がやってくるのは当分先のようだ、と科学者は語っている。

科学者によると、新たな変異株が人々の間を席巻し、より多くの人がワクチン接種を受けるようになれば、ウイルスにとっては、免疫をある程度持っている人にも感染できるように進化しなければならないという圧力が高まるという。次の変異株を予想するのは、オミクロン株の場合と同じように難しいかもしれない。

ルイジアナ州立大学健康科学シュリーブポート校のウイルス専門家であるジェレミー・カミル氏は、「新たな変異株は思いもかけないところからやってくると予想される」と述べ、「誰であろうと、今後2年間に何が起こるかについて過度に確信を持って話すのは、非常に愚かなことになる」と付け加えた。

24日に、WHOのクルーゲ氏もそうした懸念を表明しつつも、待ち受けている事態に対処する上で欧州ははるかに適した場所であると述べた。欧州で初めて新型コロナウイルス感染者が確認されてから2年が経過したことを受けてコメントした同氏は、警戒と楽観を織り交ぜながら、人々に新型コロナウイルス以外の差し迫った健康問題にも注意を払うように促した。

クルーゲ氏は、「パンデミックの終焉ははるか先のことになるが、2022年に緊急期を終わらせて、緊急に注意を払う必要のある他の健康上の脅威に対処できると期待している。未処理の案件やウェイティングリストは増え、必要不可欠な医療サービスは中断され、気候に関連した健康上のストレスやショックに対応する計画や準備は保留されている」と述べた。

(執筆:Benjamin Mueller記者、 Marc Santora記者)

(C)2022 The New York Times Company 

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