受験生時代にもよくいたものです。数学が得意なので数学だけ勉強して苦手な英語を勉強しない人。民事系の法律が得意なので民事系ばかり勉強し刑事系の法律を勉強しない人。
こういう人たちは、苦手分野を勉強することのストレスから逃げているだけです。わからない、人よりできない、というコンプレックスやフラストレーションから逃れたいために「得意分野」という“ぬるま湯”につかっていると言えます。試験勉強は総合点の勝負、一つの学問を突き詰める学者の仕事とはまったく異なります。まずそれを理解してください。
むしろ苦手分野に集中投資せよ
ものは言いようです。私に言わせれば「苦手分野」とは、すなわち「のびしろの大きい分野」。私の経験則に照らせば、0点の実力を80点に上げるのと、80点の実力を100点に上げるのは、ほぼ同等の労力が必要です。実力が上がるにつれ、より上を目指すのに多くの労力が要求されるのです。
「苦手」ということは、80点に達しておらず、時間の費用対効果がいいということ。限られた時間を積極的にそこに投資するのが試験勉強の常道です。今後は苦手分野だけ勉強し、くれぐれも得意分野の80点を100点に上げる道を選ばないでください。合格は遠のくばかりです。
さあ、苦手分野に突っ込む決心はつきましたね。そんな人にだけ私なりの苦手分野克服法をお話ししたいと思います。手始めに、「苦手」には以下のように3つのレベルがあることを知りましょう。
①圧倒的な知識不足
簡単に言ってしまえば、「何が何だかわからない」という状態です。問題を読んでも意味が分からない、みたいな話ですね。外国為替で言えば、円高ドル安、what’s? というレベル。このレベルの人の口癖は「何それ?」。基本的な用語の意味が分かっていない状態です。
②知識はあるが断片的でつながっていない
部分部分の知識はある程度身についているものの、それが有機的につながっていないために丸暗記の域を出ない、という状態です。このレベルでも、穴埋め選択問題などで「□にあてはまる言葉を選べ」みたいなものだとなんとなく答えることができますが、それ以上の高度な問題にはなかなか歯が立ちません。
先の外国為替の例で言えば、円安になると輸出企業が儲かる、という知識は持っているが、なぜそうなるのかが分かっていない状態。口癖は「聞いたことあるけど何だったっけなぁ」。丸暗記しているので「ド忘れ」しやすい、というのも欠点です。
③知識がある程度つながっているが、問題に適応できるレベルではない
知識同士がある程度つながってきているが、試験の出題形式にフィットした知識になっていない。記述式問題なのに、重要単語の定義を暗記していない、といった状態で、口癖は「あーわかるけど、何て言えば(書けば)いいのかなぁ」。アウトプット形式に合わせて知識がインプットされていないわけです。
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