国立女子大で相次ぎ「工学」分野の学部新設のなぜ 今春に奈良女子で、24年度にお茶の水が設置へ

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お茶の水女子大では他大学に先駆けて、2011年度より「複数プログラム選択履修制度」を導入している。自分の学科の専門を学ぶ軸となる「主プログラム」に加えて、専門をさらに深く学ぶ「強化プログラム」、他の専門領域を横断的に学ぶ「副プログラム」、領域融合分野を学ぶ「学際プログラム」など、学生のニーズに合わせ学科を超えて選択できる仕組みだ。学生のアンケートでも専門教育の満足度が8割を超えるほど、好評な履修制度となっている。

2024年度に新設される共創工学部でも、このプログラム選択履修制度をより進化させた形で取り入れる予定だ。人文系や社会科学系などの文系の学生が、工学分野に目を向けるきっかけにもしたいと期待をよせる。

手厚い進路サポート

進路に悩む学生が自分の道を見つけるためのサポートも手厚い。単に就職活動の指導ではなく、社会に出て何をしたいのか、自分が学んだことを社会で活かすにはどうしたらいいのかということを重視している。

奈良女子大では、大学教育で最も大切なのは自分の個性を掴むことだと考え、1年次に「自己プロデュース」という科目を設定。前期後期合わせて36回分の授業で、自己分析から始まり、自分の強みや弱みを把握する。社会において自分はどんな役割を担うことができるのかを考えぬく内容だ。また教員はコーチングの指導法を学び、学生が主体的に履修方針や将来に対する考えをまとめていけるようサポートする。

主軸とする課題解決型演習も、多様な人と関わりながらプロジェクトを行う中で、自分の可能性や個性に気づくための手段と位置づける。1年次には「価値創造体験演習」を必修にした。「エンジニアリング演習」で習得したセンサーとプログラミングの技術を使って、とにかくおもしろく人を楽しませるものを作るという演習だ。作ったものを、学園祭でコンテストし、一般の人にどう評価されるかまで体験する。とにかくおもしろいと思うものを、グループの興味に従って作っていくところがポイントだ。

「よくわからないけれど、やってみたいことをやっていく。その中で、なぜやってみたいと思ったのか、やってみたことが人や社会にどんな意味をもたらすのか、と整理されていく体験がイノベーターには不可欠だと考えています。課題がなければ何もできないというのではなく、課題を自ら作る人になってほしいという願いをこめました」(藤田教授)

2年次以降には選択で「ユーザー思考演習」「社会改善起業演習」「コンセプチュアル演習」など、社会に出た後、すぐに役立てることのできる内容を数多く盛り込んでいる。

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