米専門家が政府「コロナ対策」に出した驚きの意見 必要なのはお決まりの近視眼的対策ではない
「マクロ的に見ると、われわれはすでに過去のものになった危機とばかり戦っているような状況だ。次にやってくる危機に備えて今何をなすべきか、ということに必ずしも考えが及んでいるわけではない」とボリオ氏は指摘する。
元顧問らは、記事の公表前にホワイトハウスにその内容を知らせていたが、提案が受け入れられるかどうかは不明だった。バイデン政権のコロナ対応で首席医療顧問を務めるアンソニー・ファウチ氏は、JAMAに掲載された意見記事に対しコメントを避けている。
オミクロン株で感染が新たに急増する中、元顧問らは「終わりのない緊急事態」にはまることは避けなくてはならないと意見記事で主張した。それにはまず、新型コロナが世の中に広まっている呼吸器感染症ウイルスのひとつだと認識し、これらのウイルスすべてに対応した総合的な対策を練り上げる必要があるとしている。
感染拡大は今後も繰り返される
新たな変異株も含めて、今後も感染拡大が繰り返されることは避けられない。そうした状況への備えを強化するには、インフルエンザなども加えた入院患者や死亡者数がどのレベルに達したら緊急措置を発動するのか、その具体的な目標や指標を政府が設定する必要がある、という提言だ。
元顧問らが訴えているのは長期戦略の必要性だけではない。バイデン政権の現在の対策や姿勢も批判の対象となっている。中でも目立つのが、政治的な理由から必要な対策が手ぬるくなっているという批判だ。
例えば元顧問らは、共和党が猛反発しているワクチン接種の義務化をもっと強力に推し進めるべきだと主張。共和党に攻撃されたことからバイデン氏が導入に抵抗してきたワクチンのデジタル接種証明「ワクチンパスポート」の導入も欠かせないとしている。
「偽造可能な紙のカードに頼るなど、21世紀には許されないことだ」。ボリオ、エマニュエルの両氏と、ロックフェラー財団のパンデミック予防研究所のトップを務めるリック・ブライト氏は記事にそう記した。