米専門家が政府「コロナ対策」に出した驚きの意見 必要なのはお決まりの近視眼的対策ではない
ジョー・バイデン氏が2021年1月に大統領に就任したその日、政権移行時に同氏に助言していた医療専門家による諮問委員会は正式に消滅した。が、彼らはその後もひっそりとズームで定期会合を持ち続け、そこでの話し合いは政府の新型コロナウイルス対策に対する不満に転じることが多かった。
バイデンの元ブレーンが公然と反旗
そして先日、元顧問のうちの6人が、言葉は丁寧ながらも公然と政府を批判する異例の行動に出た。医学誌『アメリカ医師会雑誌(JAMA)』に1月6日掲載された3本の意見記事で6人は、これまでとはまったく異なる新たな新型コロナ対策を採用するようバイデン大統領に呼びかけた。
新型コロナウイルスの撲滅ではなく、この先もウイルスと共存していくことになる「ニューノーマル(新常態)」に合わせた対策に転換すべき、という忠告だ。
筆者として名を連ねているのは、いずれもアメリカ医学会の重鎮たち。食品医薬品局(FDA)の元チーフサイエンティスト代理ルシアナ・ボリオ氏や、労働安全衛生局の元長官で現在はジョージワシントン大学の公衆衛生大学院で教鞭を執るデービッド・マイケルズ氏など、政府の要職経験者も含まれている。オバマ政権で顧問を務めたペンシルバニア大学医療倫理学部のエゼキエル・エマニュエル教授が今回の取り組みを組織した。
忠誠を重んじ、意見の相違が表沙汰になるのを嫌う点では、バイデン政権もほかの政権と変わらない。その意味で、このような意見記事が出たこと自体が驚きといえる。元顧問らは、ホワイトハウスと直接話しても進展がなかったことを記事執筆の理由のひとつに挙げた。