なぜか仕事がスムーズに回る人の「時間」の使い方 すぐ動けない人のため「時間割仕事術」のススメ

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「ざっくり時間割」づくりの〝落とし穴〞でよくあるのは、優先順位を間違えて、重要なことをやる時間を取っていないことです。目の前のことしか見えなくなるとありがちですが、あまり重要ではないことに、時間をかけて取り組んでしまい、肝心の重要なことに取り組む時間が残っていないことが往々にしてあります。

そうした事態を防ぐために、列挙した「やるべきこと」を「緊急性」と「重要性」で分けていきます。その分類にそって、優先順位を決めていきましょう。

おすすめなのは座標軸を使ったマトリックスをつくることです。これはスティーブン・R・コヴィー氏が考案したタスク管理法です。横軸は「緊急度」、縦軸は「重要度」に定めて、それぞれの「やるべきこと」をマトリックスに入れていきます。

特に、集中力などを必要とする仕事の場合は、他の仕事に邪魔されず、しっかり集中して取り組める時間を確保してください。そして、最優先すべき仕事は期限までに必ずやり切ります。

こうすることで、期限に間に合わせようと徹夜をしたり、期限ぎりぎりになってやっつけでつくったものを提出したり、まったく着手できずに信用を失ったり、期日に間に合わなくなるリスクを防げるのです。

なお、優先順位について、補足しておくと、「重要かつ緊急なこと」を最優先でやるのはそのとおりですが、「重要かつ緊急」でなくても、2分以内で終わるような細かい仕事は即座にやってしまうことです。

例えば、メールに簡単な返事を書く、回覧に判子を押して回す、机上の整理など、重要ではないけれど、瞬時に片付くことはやってしまいます。そうすることで「重要かつ緊急なこと」にじっくり落ち着いて取り組めます。

必ず「バッファ」をつくる

生産性が低い人の特徴は、いつも時間に追われていて、余裕がないことです。そうならないためには、余裕を持った時間割づくりが重要です。

『すぐ動けない人のための時間割仕事術』(朝日新聞出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

例えば、「企画会議のプレゼンの資料づくり」のうち「PCでテキストを作成する」という作業を60分使って処理する予定を立てていたとします。

ところが、急に重要なお客さんとのアポが取れて、出かけなければならなくなったとします。その場合当然時間割を修正しなければならなくなります。

しかし、キチキチに予定を詰め込んでいると、仕事を動かす先が見つかりません。そういうときのために、だいたい1〜2割くらいは時間にバッファ(余裕)を持たせて時間割をつくっておくことです。

また「ものすごく頑張ったら60分で終わりそうだな」と判断した場合、ギリギリ60分でなく、90分の時間割にしておきます。

そうやって時間割にも遊水池のようにバッファを持たせておけば、洪水になって家に水が浸水しそうになっても、遊水池で吸収することができます。

藤井 孝一 経営コンサルタント、アンテレクト取締役会長

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ふじい こういち / Kouichi Fujii

1966年生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。大手金融会社で営業・マーケティングを担当。その間、中小企業と起業家の活動をサポートする経営コンサルタントとしても活動、3年間の二足のわらじ生活を経て、独立する。とくに、かつて「副業」とひとくくりにされてきた「在職中から、お金をかけず、低リスクで始める起業スタイル」を「週末起業」と名付け、その普及に東奔西走。「起業したいが、リスクが怖い」と考えるビジネスパーソンたちから支持される。この活動を加速させる目的で2003年『週末起業実践会』(当時は『週末起業フォーラム』)を創設。2万人を超えるビジネスパーソンに起業を指導し、多くの起業家を生み出す。

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