欧米が経済活動を続けられるのは、ウィズ・コロナを実現するため、感染予防や治療体制を強化してきたからだ。この点で日本は大きく見劣りする。
オミクロン株はワクチン接種者へのブレイクスルー感染が問題となっている。これに対しては、追加接種が有効だ。昨年12月11日、イスラエルのシェバ・メディカルセンターと同国保健省の中央ウイルス学研究所は、追加接種により、オミクロン株への中和活性が100倍高まったと報告している。
世界各国は追加接種に懸命だ。ところが、日本は遅々として進まない。図2をご覧いただきたい。OCED加盟38カ国中、36カ国が追加接種の進行状況を公表しているが、日本はその中で断トツの最下位だ(図2)。
早期治療には早期検査と投薬が必要
治療薬の入手も遅れている。アメリカ・メルク社のモルヌピラビル、アメリカ・ファイザー社のパクスロビドなどの経口治療薬は、感染早期に投与することで、重症化や死亡のリスクを、それぞれ3割、9割減らすことが証明されている。世界各国は治療薬確保に奔走している。
アメリカ政府は1月4日、ファイザー社のパクスロビドの供給を、昨年11月に契約した1000万回分から2000万回分に倍増させたと発表した。1月末までに400万回分が納入される。日本が確保したのはモルヌピラビル160万回分、パクスロビド200万回分で、十分量とは言いがたい。1月7日、日本経済新聞は、調剤薬局クオールで「4日時点で全店の1割にあたる約90店に届いたが、この店には1箱、患者1人分のみ」という状況を紹介している。
治療体制の問題は、治療薬の確保だけではない。早期投与のためには、早期に検査しなければならない。そのためには、検査体制の強化が必須だ。図3は、1月7日時点でのOECD加盟国での人口1000人あたりの検査数だ。日本の検査数は0.41件で、メキシコについで少ない。英国(20.6)や米国(4.99)のそれぞれ50分の1、12分の1だ。
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