部下をその気にさせる「仕事のゲーム化」の攻略法 ゲームには「のめり込む仕掛け」が多く存在する
最初は簡単に釣れます。すると、小さなご褒美が手に入ります。それは、ゲームの中での魚だったり、ポイントだったり、アイテムだったり、コインだったりします。徐々に難易度が上がって、どの漁場を選ぶのか、どの船に乗るのか、どの釣竿を使うのか、どの餌で釣るのか、だんだんと戦略的にゲームを進める必要が出てきます。
どんな魚を釣り、どの程度収集できたのか、釣りの技術はどのくらいなのか、すべては数値化され、ランキング化されます。自分が魚釣りゲームの世界の中でどのくらいのレベルなのかがわかるので、その順位を上げようというモチベーションも働きます。
ゲームにはまる仕組みを仕事に応用
そして、「このレアな魚を釣りたい」「この種類の魚を揃えたい」「それを釣るためのこの釣竿がどうしてもほしい」「このアイテムを手に入れたい」といった、ゲーム内で実現したい欲求がどんどん湧き上がってきて、一度100円でも課金してしまうと、お金で手に入るならとみるみる課金してしまうのです。そうしてネットゲームに大金を投じてしまう人たちを「ネトゲ廃人」と呼んで社会問題にもなりました。
スマホの画面上の魚やアイテムを手に入れたところで、リアルな世界でお金に変わったりするわけではありません。にもかかわらず、ゲームの世界にのめり込み、お金をもらうどころか、支払ってまで取り組む状態にユーザーをもっていってしまうのです。
ゲームはなぜそこまで人をのめり込ませるのか。これには、巧妙に設計された「仕掛け」があります。そしてそれは、ビジネスの世界にも応用可能です。
ゲームの世界で使われている仕掛けを他の分野に応用することを、「ゲーミフィケーション」といいます。簡単にいえば、ゲーム化することです。いつもの仕事もゲームの要素を取り入れることさえできれば、まったく違った熱量を部下に与えることが可能なのです。
部下育成のうまいマネージャーはゲーミフィケーションをうまく取り入れています。ゲームの仕掛けをビジネスに応用するうえで、「バートルテスト」の4分類の考え方が役に立ちます。
ゲーム研究者であるリチャード・バートルが発案したテストで、プレイヤーの気質を「アチーバー」「エクスプローラー」「ソーシャライザー」「キラー」の4つのカテゴリーに分類するものです。一口でゲームといっても、そこには4タイプの楽しみ方があります。
1.アチーバー … 何か物事を達成することに喜びを感じる
2.エクスプローラー … 探索をしたり、発見をしたり、旅に出たりすることを楽しむ
3.ソーシャライザー … 他人とのかかわりにのめり込む
4.キラー … 勝負やランキングで他人より上の立場に立つ
この分類は、ビジネスの世界にもそのまま応用できます。
1.目標を達成したい
2.究極を追求したり、価値ある情報を探索したりしたい
3.仲間と一緒に働くことが好き
4.他人より成果を上げることが嬉しい
あなたの部下は、どのタイプでしょうか。