このままでは、ゴルフはリオ五輪で惨敗する 業界全体で、日本のゴルフを応援しよう

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52年ぶり、2度目の日本開催となった世界アマチュアチーム選手権。1週目に世界女子アマが開催され、その翌週、男子の大会が開催された。この流れは、今年初めて男女同一コース大会となった全米オープン、全米女子オープンと同じである。これらは、2016年に開催されるリオ五輪のシミュレーションでもある。

日本女子チームは、2日目に2打差の2位となっていたけれど、結果的には、15打差の8位に終わった。3人1チーム。そのうち上位2人のスコアが採用される団体戦。だから1ホールでも一気に順位が変わる面白さと怖さがあった。

ここで、日本選手たちに落胆するのは簡単だが、16年、そして20年の五輪を視野に置けば、彼我の差や課題が具体的に見えてくると思う。その課題を一つひとつクリアすることに専念するほうが、より建設的だと思うのだ。

世界のアマチュア界は、大きく変わっている。その理由の一つが、男女ともに世界アマチュアランキングが07年にできて、各国のアマチュアたちが、世界を見据えてスキルアップをし始めたことだ。

そのランキングの50位以内に入ると、全米女子アマにも出場できるし、今の自分が、世界のどのポジションに位置しているかがわかることでより闘争心が増していた。そして、自国だけの大会に出場するのではなく、ランキングポイントの高い他国の大会に率先して出場し始めたことだ。だから、アマチュア選手でありながら世界を駆け巡る選手に変わっていったのである。

もう一つは、ゴルフが五輪競技となったことで、自国のナショナルチームの強化システムが、急変したことだ。たとえば中国は、グレッグ・ノーマンのチームにコーチを依頼した。フランスは、それまで米国へのゴルフ留学生が一ケタだったが、今は66名の選手が米国にゴルフ留学している。ティーチングシステムがしっかりしているし、強豪選手がいっぱいいるからだ。

ゴルフ協会だけでなく、国がバックアップして強い選手を育て、自国のゴルフ活性化につなげようとしているのだろう。際立つのがヨーロッパかもしれない。北欧など夏は自国で、冬はオーストラリア、米国に行かせて練習させる。

ひるがえって日本はどうか。もちろんナショナルチームがあり、そこでトレーニングなどを積み重ねているが、海外遠征にしても、資金的に潤沢でないために経験不足が否めない。思い切って、サッカーのように海外から優秀なコーチを招聘することも、現状では不可能である。

今こそ、一致団結して、ゴルフ業界全体で支援する必要があると思う。もちろん、支援するに足る強化システム、組織づくり、方針などが、納得できるという条件つきである。

日本選手は弱い、と一刀両断するのではなく、前向きに最善策を考えるべきだと思う。

週刊東洋経済 10月4日号より

三田村 昌鳳 ゴルフジャーナリスト

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みたむら しょうほう

1949年生まれ。大学卒業後、『週刊アサヒゴルフ』副編集長を経て、77年にスポーツ編集プロダクション(株)S&Aプランニングを設立。日本ゴルフ協会(JGA)オフィシャルライター、日本プロゴルフ協会(JPGA)理事。逗子・法勝寺の住職も務める。

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