ゴルフ大会泣かせの異常気象 まさか、日本でも竜巻が起きるなんて!

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暑さ寒さも彼岸まで、というとおり朝晩涼しくなってまいりました。8月の女子プロゴルフツアーは、北海道、軽井沢、箱根、また北海道と涼しい所で試合をさせていただき、また夏休みと重なって、大勢のゴルフファンが大会を見に来てくださいました。

ゴルフ場は緑に囲まれ木々も多く、広々してとても気持ちのよい場所。お天気がよければ芝生に座った観戦も心地よいですし、日陰でお弁当を広げればピクニック気分です。

さて大会期間中、いちばん心配なのが天候です。その中でいちばん怖いのは雷。予報が芳しくないときは、刻々変化する雲の動きや雷レーダーとにらめっこしながら大会を進めています。中断や中止に追い込まれないよう、予報によっては事前にスタート時間を早めたり遅くしたりと、なるべく雨を避けようと試みます。

なぜなら最近の雨は熱帯地方の豪雨のような降り方をするうえ、気象レーダーを注意深く追っていても、突然雷雲が湧き起こりドカーンと雷が落ちてきます。

プレーをしている選手たちは金属製のクラブを手に持っているので危険極まりない。外にいるボランティアの皆様、大会関係者、そして、観戦しているギャラリーの方々の何千人という人々が一気に避難しなければなりません。

高い木が多いゴルフ場は一気に危険が増すのです。雷雨に対して避難経路や避難車両、避難場所など事前に準備は進めておくものの、大会関係者は気が気ではありません。

ところで昨年の5月、茨城県で開催された大会では竜巻の危険も経験しました。大会最終日、表彰式が終わるや否や黒い雲が湧き起こり、雨が降ってきて、まもなく大会本部のトタン屋根にばらばらと耳をふさぐようなすごい音。なんと大粒の雹が降ってきたのです。

目の前にある練習グリーンはみるみる間に白くなり、建物に穴が開くのではと思うくらいの勢いでした。テレビを見ると、大会開催場所から数キロメートル北で竜巻が発生したとの速報ニュース。もうみんなビックリ! まさか日本で竜巻が起こるなんて、と耳を疑いました。

実は米国ツアーに参戦していた頃、試合中に竜巻警報サイレンが鳴り、クラブハウスの地下室に選手全員で避難した経験があります。そこはオハイオ州だったのですが、米国では高い建物がない田舎の平地で、竜巻がよく発生していました。だから個人宅にも地下室が備わっているのが一般的です。

その日も蒸し暑いギラギラした日で、突然冷たい風がスーッと吹くとまもなく雷雨になりました。運よく竜巻は近くで発生しませんでしたが、初めてのことにとても驚きました。それが、建物が密集しているそれも日本で起こるなんてショックでした。ニュースで被害の映像を見て、本当に異常気象なのだと痛切に感じたのです。

最近、尋常ではない雨の降り方や突然の雷を見るにつけ、これまでの常識に縛られない危機管理対策がとても重要だと考えさせられます。

週刊東洋経済 9月20日号より

小林 浩美 プロゴルファー

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こばやし ひろみ

1963年福島県生まれ。89年にプロ初優勝と年間6勝を挙げ、90年から米ツアーに参戦、4勝を挙げる。欧州ツアー1勝を含め通算15勝。現在、日本女子プロゴルフ協会(LPGA)会長。所属/日立グループ。

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