長寿企業は地域の祭りにも参加します 強さの訳はここにある②――コミュニティ編

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町の特徴的な景観が企業の施設などにより形作られている例、幼稚園、病院、時に消防施設などインフラ的なものまでが企業から寄付されている例などもあります。さらには条例まで作っている市町村もあります。京都市は日本酒を製造している企業がたくさん存在していますが、京都市は平成25年には「日本酒で乾杯することを奨励する乾杯条例」と言われる条例まで制定してしまいました。先日たまたま先月京都で結婚式に参加する機会がありましたが、乾杯は確かに日本酒でした。

地域と価値を協働で生み出す

ここでいうコミュニティには、地域の学校、病院、老人施設など、多様なステークホルダーが含まれていることが特徴で、一つの「生態系」を構築しているとも言えます。社会的価値と経済的価値の共通価値で成長を志向するエクセレント企業に対し、事業存続とコミュニティ存続の共存価値で継続を重要視する日本型サスティナブル企業の経営手法を、CCV経営(Community Coexistence Value:コミュニティ共存価値経営)と名づけたいと思います。

 共存価値は、すぐに見返りを求めるような関係からは生まれません。企業はコミュニティに対し、生かされていることへの感謝の念を抱き、その気持ちに突き動かされ、コミュニティへ貢献していきます。一方、事業に関わりの深いコミュニティは、企業への信頼感を増し、意図せずとも企業の恩恵となるような実利をもたらします。この感謝・貢献と、信頼と恩恵による実利という好循環(エコシステム)を長い年月の中で、幾度となく繰り返し続けることによって、無数のつながりやしがらみが生み出され、共存価値になっていきます。

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