イスラエルの政策に批判が出ると、イスラエル政府と西側諸国のイスラエル支持者らは反ユダヤ主義だと非難する。その主張は不正確で虫のいいところもあるが、間違ってはいない。
確かに、ガザ地区におけるイスラエルの残虐行為に対する欧州の世論は、中東の他の地域でイスラム教信者同士が繰り広げている、もっと凄惨な暴力への批判よりはるかに厳しい傾向にある。
イスラエルは「こちら側の一員」
そうなる理由は、イスラエルが西側政府に支持されており、米国国民が納めた税金から多額の援助を受けているからだ。イランのイスラム教指導者やシリアの悪党の行動を変えることはできないが、イスラエルは「こちら側の一員」なのだ。
もちろんイスラエルを過剰に非難する姿勢や、その暴力とナチスの大虐殺との安易な比較の背後には、罪の意識を払拭したい下心も見え隠れする。ユダヤ人への虐待を欧州全体が過去数十年にわたって恥じてきた歴史の中で、人々はようやく「ユダヤ人も殺す側に回ることがあるじゃないか」と、どこか喜びにも似た感情をもって指摘する機会を得たのだ。かっこ悪い部分もあるかもしれないが、必ずしも反ユダヤ的であるとはいえない。
ユダヤ人とイスラエル人が一緒くたにされるとき、反シオニズムは反ユダヤ主義へと醜く変貌する。
最も悪質な反シオニズムは、イスラエルと米国を世界の2大悪ととらえる左派の人間に見られる。金融危機やウクライナにおける暴力など、諸悪の根源が米国のあしき力だと信じる人間は、米国のあらゆる政策の背後にイスラエルや、果てはユダヤ団体の黒い圧力を疑いがちだ。
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