ねじれ国会で注目高まる参議院改革の方向を提起--ベスト政治書『参議院とは何か 1947~2010』の著者、竹中治堅氏に聞く
民主党政権でも自民党政権時代と同様に「ねじれ国会」に。「強い参議院」の役割とは何か。
--政治書の1位になった理由を自己診断してください。
刊行の時期がよかったということではないか。参議院について理解が深まったとすれば書いたかいがあった。参議院は、内閣と衆議院が一体となって行う、立法などの活動を抑制する存在だ。本来重要な院なのだ。
--8年前から著書にする構想があったようですね。
参議院を自らの研究テーマにしたのは早かった。学者になってからずっと。ただ、データが全然ない。類書に乏しい。本になるかどうかわからなかった。
まず関連する論文を書いた。また2006年5月に刊行した『首相支配』の1章を参議院に充てている。07年には学会報告もして、準備は進めてきた。08年9月には完成させるとたんかを切ったが、ずれ込み、章立ては決まっていたものの、執筆に結局、2年以上かかった。
データベースを活用でも、砂金探しに近い
--それでも、創設された1947年から近年に至るまで、政治過程での影響力について、300ページを超えて執筆しました。
参考文献を見ていただきたい。筆者の50音順で『文藝春秋』コラムの赤坂太郎から始まる。『月刊自由民主』『人と日本』という雑誌から「政治記者OB会報」などまで、新聞縮刷版は当たり前として、文献となりうるものは徹底的に探り出し、掘り起こし、総動員している。