ねじれ国会で注目高まる参議院改革の方向を提起--ベスト政治書『参議院とは何か 1947~2010』の著者、竹中治堅氏に聞く
しかも、法案は種々雑多だ。自分の専門と関係なく、あらゆる政策について知らなければならないし、まして修正された場合には、なぜそうしたのかも追究しなければ意味がない。本当に時間がかかった。これに1年近くを費やした。
--オタクでないと、やっていられませんね。
学者というのは皆オタクではないか。一つの穴を一生懸命掘り続ける。新聞にしても、戦後しばらく政治欄というものはない。80年ごろまでデータベース化されていなくて、縮刷版を何紙も「いい材料はないか」と読みまくることになる。
--有力者にオーラルヒストリーをお願いしています。
斎藤十朗(元参議院議長)、片山虎之助(参議院議員)のお二方。斎藤氏は72年初当選、03年のインタビューだから、参議院というものの半分以上は経験していた。片山氏にはもっと最近まで多くのことを教えていただいた。
機能発揮に一票の格差の是正、大選挙区制を
--この本の全体のトーンは二院制を是としていますね。
参議院の果たしてきた役割は結局、内閣と衆議院が一体的に行う政策立案、特に立法作業を慎重にさせることに尽きる。それで二院制の目的を果たしている。
ただし、2大政党制が進んだ07~09年あたりでは、参議院の抑制が目に余る。60日間、参議院で法案をたなざらしにし、衆議院で再可決するということに不満を持つ人は多い。それに対して参議院は危機感を持つべきだし、わかりやすい形で参議院が役に立っていることを示すべきだとは思う。