
ものづくりスタートアップのひとつSpiberは、植物由来の原料をもとに独自の発酵技術を用いて繊維素材ファイバーをつくる (撮影:尾形文繁)
日本はITで大きく出遅れた。GAFAM(グーグル=アルファベット、アップル、フェイスブック=メタ、アマゾン、マイクロソフト)を筆頭に、北米IT企業が世界時価総額ランキングの上位に躍り出る間、バブル崩壊前の1989年までTOP5を独占していた日本企業はランク外へと姿を消し、世界の後塵を拝することになった。
日本のものづくりはオワコンか?

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かつて日本はものづくりによって戦後の焼け野原から経済復興を果たし、アメリカの社会学者エズラ・ボーゲルが1979年に出版した著書「Japan as Number One: Lessons for America」のタイトル通り、日本企業のあり方は世界から注目され、高く評価された。その一方、日本企業のものづくりへのこだわりや自負が足かせとなって、デジタル領域で後れを取ったとする見方もある。
加えて、極論を言えば、ITスタートアップはPC1台あれば起業できるのに対し、ものづくりスタートアップを立ち上げるとなると、試作までは比較的簡単にできても、量産には膨大なコストと時間がかかるという「量産の壁」が立ちはだかる。そうなると、スタートアップがものづくりで成功するのは至難の業だと言っても過言ではない。
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