ねじれ国会で注目高まる参議院改革の方向を提起--ベスト政治書『参議院とは何か 1947~2010』の著者、竹中治堅氏に聞く

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 雑誌記事は、大宅文庫の書誌に当たり、その結果を国立国会図書館に資料発注依頼をして拾い出す。国立国会図書館には政治家と官僚について膨大なデータベースがある。それで、歴代議長はもちろんのこと、参議院自民党の議員会長、幹事長、国会対策委員長、閣僚経験者などを検索して、その人たちの書いたもの、書かれているものを探した。

そのうち必要なものは古書店のデータベースを活用して買いまくった。安いから買うのにおカネはかからない。それでも購入できないものは、図書館データベースで検索して取り寄せた。ただ実際には、これは、という資料にはほとんど突き当たらず、いわば近くの砂浜で砂金を探すようなものだった。

--中でも、苦労された章は?

参議院は1947年から始まるが、年代をさかのぼるほど苦労した。第1章(内閣の鬼門--吉田茂と参議院)がいちばんつらくて、次が第2章(議長の時代--松野鶴平と重宗雄三)だった。その次に大変だったのは第3章(河野謙三の登場)、そして第4章(五五年体制の崩壊と参議院)……。現代に近づくにつれ執筆ピッチが加速していくのはわかっていた。最近のことは書きやすい。

--たとえば第1章の何が大変でしたか。

その時々の参議院の役割を立証しようとして、法案修正へのかかわりに注目した。吉田内閣のときに参議院で法案修正をたくさんしている。その実態をとらえるには、まず法案の内容をきちんと理解していないとならない。内閣で法案を準備して衆議院で審議し、参議院に回ってくる。その全プロセスを把握しないと、参議院がどういう形で影響力を行使したかわからない。

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