『モチベーション3・0』の著者、ダニエル・ピンク氏に聞く--才能より「やる気」が重要。大事なのは利益ではなく目的のために働くこと
--仕事観という点で、世代間のギャップは大きい。若年層はやりがいを求める志向が強い。
日本では特にそう言えるかもしれない。親世代が生きてきた時代には、「日本社会を立て直す、発展させる」という使命があった。その後、社会が豊かになるにつれ、子供世代では「サバイバルのために働く」という意識が薄れるのは自然なことだ。
ただ、両世代には調和も芽生えつつある。親世代は年を取るにつれ、人生の意味を考えるようになっており、子供世代と似てきている。米国でも、ミレニアム・ジェネレーションと呼ばれる00年以降に社会人になった世代は、やりがい志向だ。やりがい志向の両世代が結束すれば、大きな社会の変革力となるだろう。
--どうすれば自らの目的を見つけることができるのでしょうか。
人生の早い時期から、自らの目的を探すために、本音の会話を始めること、そして、目的は時の経過とともに少しずつ変化することを認識することが大事だ。22歳のときの目的は、42歳のときのものとは違うかもしれないし、62歳のときの目的は、42歳のものとは違うかもしれない。一つの正しい答えがわるわけではない。
私自身、32歳のときには自分の目的を持っていなかった。その後、多くの経験や思索を積み、昔より明確な目的を持てるようになったが、今も目的を探し続けている。
私のこれまでの著作に通底するテーマは、目的。そして、最も重要な目的の源泉となるのは、仕事だ。睡眠以外の時間の半分以上を費やす仕事から、満足を得られないとすれば、そんなに悲しいことはない。
--自律的に働くには、究極的にはフリーエージェントになるしか手段はないのでしょうか。
そうは思わない。現在の仕事の範疇でも自律性を高めることができる。全てを変えようとするとするから、怖気づいてしまう。そうではなく、まず身近な身の回りのことを一つ変えてみる。