会議のコーヒーブレイクの時間に、私は何人かの中国人経営者と立ち話をした。意識的に WTO判決の話 を振ったが、ほとんどの経営者が「日欧米の陰謀によってEL制度と輸出税が廃止させられるので、零細レアアース企業は倒産してしまうから大変だ」といった話ばかり。完全に行政からの通達を繰り返しているようにも見えた。
彼らのもっている情報では、今後政府は(発展改革委員会など)の指導により、レアアースの企業グループを6つに集約、経営の強化を図るとのことだった。つまり、今後も実質的に政府が指導価格を内部決 定 、一段の独占経営に持ち込む可能性があるらしい。
最終日の「ガラディナー」では、外国人ばかり70名の参加があった。なぜか中国人のパーティー会場は別の場所に設営されていたらしく、その会場は中国人参加者ばかりで入りきれないほどの盛会だったと後で聞いた。
実は、私自身も中国で経営しているレアアースの合弁企業の副董事長であり、「中国側」の宴会にも誘われた。だが折角、豪州のライナス社や欧米各国の友人たちが来ているので、非中国系のパーティーに参加した。こんなところにも、中国のレアアース産業の「協調性の欠落」に、違和感を感じた。
結局、今回の会議にいえることだが、中国のレアアースの産業政策と対外政策に関するリーダーは不在だ。国際社会への協力体制も実体面が伴わず、綺麗ごとばかりに終始している。
レアアースだけでなく、需要側と供給側が共存共栄してこそ、市場は安定するものだ。私はこのコラムの中で、常に中国に向かって「ただすべきことはただしてほしい」と率直にモノを申してきたし、これからもそうするつもりだ。それこそが真の友情につながると考えるからである。しかし、残念ながら、レアアース市場の安定的な発展には、しばらく時間がかかりそうだ。
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