関西国際空港の挑戦[1]--600万人の訪日客に照準! 中国路線を拡張へ

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 「アジアのゲートウェー」を掲げる関空はここ数年、この旗印に沿ってアジアネットワークの拡充と、中国戦略の強化に取り組んできた。今年に入ってからの外国人利用客の急増は、外部環境の変化だけがもたらしたものではなく、中期的な施策の成果が発現した側面もあることは確かだろう。

関空が抱える遺恨問題

浮上のきっかけをつかんだとはいえ、関空がこのまま上昇気流に乗るとは言い切れない。

関空は開業前の遺恨をいまだに背負う”悲劇”の空港、と言える。1960年代、大阪国際空港(伊丹空港)の騒音問題を解決するために神戸沖に国際空港の建設が検討されたが、神戸市が拒否し、94年の関空開港につながった。

ところが、航空機の性能向上で騒音問題が鎮静化したこともあり、伊丹空港はそのまま存続。さらに、06年には神戸空港も開港。これがいまでも尾を引き、現在は半径20キロ圏内で、関西の3空港が国内線の需要を奪い合う状態になっている。

また、民活の路線のもと、巨額の建設投資を有利子負債で賄う仕組みとしたため、これが経営を圧迫。現在の有利子負債は1兆円を超え、年間の支払い利息は200億円以上。繰越損失も2000億円を超える。

 

 

 

この高コスト構造を背景に、アジアの他空港に比べて圧倒的に高い着陸料を強いられており、これが競争力の低下を招いている。

関空の経営問題を解決するために、国交省は今年5月に関西と伊丹空港の経営統合などを柱とする救済案を打ち出した。ただ、競争環境は厳しさを増す。成田空港の発着枠が拡大され、10月には羽田空港の拡張も控える。

この状況下、関空はかつての遺恨から解き放たれ、アジアを代表する国際空港のひとつに成長することができるのか。関空の新たな挑戦を、短期集中シリーズでレポートする。

 

 

(梅咲 恵司 =東洋経済オンライン)
※次回は来週掲載予定です。

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