関西国際空港の挑戦[1]--600万人の訪日客に照準! 中国路線を拡張へ
「いまは逆風がない状態」。関西国際空港の福島伸一社長は、現在の経営状況をこのように語る。
関空は長年、需要低迷に苦しんできた。泉州沖に浮かぶ海上空港のため都心部からのアクセスが不便で、これが障壁となり、国内の利用者を思うように呼び込むことができなかった。
そこに世界景気の悪化や、経営問題で揺れる日本航空の減便などが襲いかかる。2009年度の利用客数は1351万人と、ピーク時の00年比34%減にまで落ち込んだ。
ところが、10年に入ってからこの状況が一転している。国際線の利用客は、昨年12月から増加に転じる。国内線の利用客も前年割れが続いたが、今年6月になって上向いた。
景気の底打ちとともに利用客が緩やかに回復すること自体はサプライズではないが、利用客の状況を細かく見ていくと、過去とは明らかに違うトレンドがあることに気がつく。外国人の利用客数の推移だ。
外国人の利用客は今年2月から、月ごとの過去最高数を更新していた。そして4月に36万人を突破し、単月ベースで1994年の開港以来の過去最高数を記録。6月も前年同月比91%増の27万人と、高水準を維持している。
自治体や経済界と連携
外国人のうち急激な伸びをみせているのが、中国人の利用者である。「中国のお客様は、ここ5年で5倍に急伸している」(福島社長)。