割り切った操作性で一眼とコンパクト機のいいとこ取り--ソニーのミラーレスカメラ「NEXシリーズ」《東洋経済モノ奉行》
ソニーが6月に発売したミラーレス・デジタルカメラ「NEX」シリーズが人気だ。商品価格比較・口コミサイトのカカクコムでは、高価格機種「NEX‐5」(低価格機種はNEX‐3)がデジタル一眼の売れ筋トップにランクイン(8月9日現在)。
ボディ色によっては品薄状態にもなっている。丸と四角を組み合わせたような近未来的な外観にひかれ、家電量販店で手に取った人もいるだろう。話題の製品の実力に迫った。
ミラーレスカメラは、一眼カメラでボディ部分に内蔵されていたミラーボックスを廃したカメラ。画像をとらえるイメージセンサー半導体(撮像素子)の高い性能と、レンズ交換という拡張性はそのままに、大幅な小型軽量化を図ることができる。2008年にパナソニックが世界で初めて商品化した。ソニーにとっては、NEXでミラーレスに参入したことになる。
高画質を支えるのは撮像素子。デジタルカメラの画質はセンサーが光を受ける能力に大きく左右されるが、この能力はセンサーの面積におおむね比例する。NEXシリーズに搭載されているAPS‐C型センサーの面積は、一般のコンパクトデジタルカメラ向けの約13倍、パナソニックなど競合メーカーのミラーレス機に搭載される4/3(フォーサーズ)型に比べても1.6倍の面積を持つ。
■NEXの中身はこうなっている。右の「Exmor」と書いてあるのが大判の撮像素子
一眼レフと同等のセンサー能力を生かせば、どんな写真が撮れるか。ひとつの例が「ボケ味」の表現だ。
一面の花畑の中、足元の一輪だけくっきりと浮き上がらせ、背景は輪郭をボケさせよう--。そんな効果を狙ってコンパクトデジタルカメラのシャッターを押し、結果にがっかりしたことはないだろうか。