転職市場の回復傾向が鮮明に−−メディカル業界の求人倍率は3.45倍で過去最高
人材紹介会社インテリジェンスが運営する転職サービスDODA(デューダ)が、2010年4~6月の転職求人倍率を発表した。
「転職求人倍率」は、大都市圏のホワイトカラー層を中心とした転職マーケットにおける需給バランスを表しており、転職支援サービス登録の個人求職者と、法人企業の求人数をもとに算出している。
転職市場の回復基調が継続 全体の転職求人倍率は1.0倍に迫る
10年6月の転職求人倍率は0.98倍で、前月比0.02ポイントの上昇となり、求人倍率は09年4月の0.68倍を底に改善傾向が続いている。メディカル、製造業、インターネット関連を中心としたほとんどの業種でこの様な傾向がみられ、次四半期では、1.0倍を上回る可能性が高い。
医療系営業職で採用ニーズが拡大 内需産業は停滞続く
業種別の求人倍率を見ると、6月は「メディカル」が3.45倍で最も高く、次いで、「IT/通信/インターネット」(1.08倍)、「メーカー」(0.97倍)という結果になった。
「メディカル」の求人倍率は2008年1月の調査開始以来、最高値だ。要因として臨床開発や薬剤師などの医療系技術職、MR・MS、医療機器販売などの医療系営業職で採用意欲が高まったことが挙げられる。
一方、求人数の回復が鈍くなっているのが、「小売/外食」「サービス」で、国内の個人向けサービスを中心とした内需産業で転職市場の動きが停滞傾向にある。
医療系営業職は、業界未経験者の採用も活発化
DODA編集長の美濃啓貴氏は、転職求人倍率調査の結果を以下のように分析する。
「4~6月は、これまで中途採用意欲の高かったメディカル業界で、更にもう一段、採用ニーズの高まりが見られた四半期となった。臨床開発や薬剤師などの医療系技術職は、大型新薬の特許が一斉に切れる、いわゆる2010年問題を背景に、不況期下でも高い採用数を維持していたが、4~6月は開発関連の職種に加え、医療系営業職の求人も増加し始めた」。
さらに営業職については、「1つの企業でも10数名から100名単位と採用人数規模が大きく、経験者の採用だけでは必要な人数に満たないことから、メディカル業界以外の営業経験者も幅広く受け入れている。特に、不動産、金融業界からの転身が多く見られる」と美濃氏は話す。
一方、転職マーケットの回復が鈍い小売/外食業界や販売・サービス関連職種については、「インテリジェンスが運営するアルバイト求人情報サービス「an」の求人を見ても求人数は横ばいとなっている。Eコマース市場の伸張や国内個人需要の伸び悩みから、正社員のみならずアルバイト・パート領域でも、いまだ新たな雇用創出につながっていない」(美濃氏)という。
なお、多くの企業で年度初めとなる4~6月は、例年、個人の転職希望者数が減少する傾向があり、今年も同様の状況がみられた。
今後、夏から秋にかけては、10月入社を見越した転職希望者が増加しそうだ。
(フリーライター:五十嵐 望=東洋経済HRオンライン)
【参考】
「転職求人倍率」とは、DODA転職支援サービス登録者1名に対して、中途採用の求人が何件あるかを算出した数値。算出式は以下の通りとなる。
[ 転職求人倍率 = 求人数(採用予定人員)÷ 転職希望者数 ]
「求人数」
前月からの繰越求人数(採用予定人員)と、当月中に新たに登録された新規求人数(採用予定人員)の合算で算出。
「転職希望者数」
前月からDODA転職支援サービスに継続登録している繰越登録者数と、当月中に新たに登録した新規登録者数の合算で算出。ただし、繰越登録者数は、直近半年以内の登録者数を採用。
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