例えば、これまで自治体を通じた個別接種はファイザー製だったが、3回目ではモデルナ製も使用されることになる。職域接種や集団接種でモデルナ製を打った人が、3回目はファイザー製ということもありえる。
1・2回目の交互接種については、すでに9月17日の第24回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で了承されている。追加接種での交互接種も、11月15日開催の同分科会で認められ、厚労省がリーフレットまで準備して盛んに推し始めた。
同省がその根拠としているのが、10月に公開されたアメリカの共同研究(査読前論文「medRxiv」)だ。それによると、組み合わせによって、3回目接種から15日後の中和抗体量(平均)の増加が、以下のとおり違ってくる。
●1・2回目ファイザー + ファイザー追加 → 20倍
●1・2回目ファイザー + モデルナ追加 → 31.7倍
●1・2回目モデルナ + モデルナ追加 → 10.2倍
●1・2回目モデルナ + ファイザー追加 → 11.5倍
興味深いことに、追加接種では1・2回目とは違うワクチンを選んだほうが、同じ種類を選ぶよりも免疫の強化につながりうる結果となった。
交互接種を後押しするようにもみえるが、一方で、先にモデルナ製を接種した人たちがファイザー製を希望する理由ともなり、その不足を助長する可能性もある。
各メーカーが開発急ぐ「オミクロンワクチン」の是非
そもそも新型コロナワクチン2回接種を完了すれば、私たちは晴れて“自由の身”になれるはずだった。
日本国内ではファイザーもしくはモデルナのワクチン接種を2回完了した人が、約8割に到達しようとしている(12月22日時点)。スマホでのワクチンパスポート「新型コロナワクチン接種証明アプリ」の運用も開始された。
そこへオミクロン株の登場である。番狂わせもいいところだが、仕方ない。従来ワクチンの効果を揺るがす変異株の出現は、科学者たちが当初から予想していたことだ。
ワクチンメーカーは現在、オミクロン株に特化した「オミクロンワクチン」の開発を急いでいる。
ファイザー社は、来年3月にはオミクロン株対応ワクチンを供給できるとしている(12月9日「ウォールストリートジャーナル」より)。モデルナ社も、今後数カ月のうちに大規模製造が可能という(11月30日「フィナンシャル・タイムズ」)。
WHOによると、従来ワクチンに限界をもたらしたのは、50個にも上る変異だ(11月30日「国連」)。そのうち32個は、免疫システムがウイルスを察知し、見分ける目印ともなる「スパイクタンパク」上に生じている。
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